看護師が語る 介護・看護される人、する家族、両方のメンタルケアが必要。訪問看護ステーションの黎明期から携わって
◆極めて不足している コロナ禍で、「体だけではなく心の健康をいかに維持するか」に注目が集まって、少しだけ精神科へかかることへの敷居は下がりました。 しかし、開業の際に改めて気づいたのですが、この精神科分野を専門にできる看護師は、今、極めて不足しています。 全国で有資格者は800人程度しかおらず、しかも、ほとんどが専門の病院所属なのです。 こうした実情と、理想とする「精神疾患の予防からお看取りまで変わらぬチーム医療で、ノンストップの支援」を実現するために、「精神科の看護資格」を持つ人材は絶対必要でした。現在も、現場や学校で、後進を育てるため奮闘しています。 専門はそういう意味で、「精神科領域(メンタルヘルス)」も含まれますね。
◆【おとなの相談室】で相談できること ――具体的に、【おとなの相談室】で相談できることは何ですか? HPを見ると、リアル「おとなの相談室」もあるんですよね? まずは、特に「在宅介護・看護」について、基礎知識から具体的な用意、よくある問題への対応などです。 同時に、在宅ケアに際して本人・お身内双方の「我慢していること」や、それに対する「モヤモヤ」「不安」への対処法をお伝え出来ると思います。 看護の考え方として『自分の対処スキルを上げる』ことを学びますが、体の病気だけでなく、心の病気に対しても、こうした未病・予防の考え方は重要です。 カウンセラーにかかるほどでもないけれど不安なこともありますよね。 「そんな気持ちにどう向き合えばいいか」「家族や友人含めた身近な人の心の不調に対して、具体的に何をすればいいのか」など、おとなの相談室では【心に関すること全般】を扱っていきます。
◆みんなに役立つ【介護・看護の秘訣】 私は在宅看護と精神科看護両方を専門としていますので、「こんなことで医者にかかっていいのか」「支える側の人間に必要なことは何か」という相談をこれまでもたくさん受けてきました。 出来るだけ具体的にお答えしていきたいので、細かい質問についても、プライバシーには加味しながら取り上げていくつもりです。 実はこの「おとなの相談室」ですが、目黒の施設にて「メンタルヘルス相談室」という名前で不定期イベントとして開催してきました。地域の人向けに開かれた相談の場を提供したかったのです。今回は、場所を限定せず、より広く質問に答えられるのではと思っています。 ――ちょっとだけ先に、みんなに役立つ【介護・看護の秘訣】について、教えて下さい。 在宅看護では、病を抱えている本人はもちろん、身近に患者を抱える側の方に、情報が足りなかったり、質問先が分からず人知れず苦悩したりするケースをよく見ます。精神の病についてもそうですね。 在宅看護を始める時の準備、カウンセラーにかかる前の心得や準備などで大事なのは、「環境を整えること」です。細かく「衣・食・住」それぞれの項目での注意事項があります。誰が、いつ、やるのか、やれない分をどうカバーするのか、不安に対しては分解して対処していくとよいと思います。 具体的な話は次回からしていきましょう。どうぞよろしくお願いいたします。
渡部貴子
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