看護師が語る 介護・看護される人、する家族、両方のメンタルケアが必要。訪問看護ステーションの黎明期から携わって
◆自分が運営をする側に 在宅医療向けの訪問看護が始まってすぐのことです。 まもなく介護の訪問看護も始まり、国から「訪問看護ステーションを作る」ための予算が付き始めました。務め先以外に、大学や専門学校での講師を兼任していたためか、「在宅医療を教えてほしい」と、ある医療コンサル会社から打診され、「訪問看護ステーション」の起ち上げのお手伝いから参加しました。 クリニックの中に訪問看護ステーションを作った後は、直接看護もする「プレイングマネージャー」になりました。 その時は、現場で働いていましたので、まさか自分が運営をする側になるなど思いもよりませんでした。 ところが、2013年に社長が突然「医療法人を売る」と言いだしたのです。急に70人もいる患者さんを他所へ送ることもできず……アフターケアなしに、そのまま閉館されてしまう事態に陥りました。 そこで、私が独立して、代表になるしかないと決意し、「訪問看護ステーション」の開業に踏み切りました。
◆精神科のケアが出来る看護師 ――これから「おとなの相談室」で相談できる内容を知るためにも、まず専門分野について、教えて下さい。 「訪問看護ステーション」を立ち上げてきたこともあり、「在宅看護」が専門と言えるでしょう。 同時に、私は「精神科のケアが出来る看護師」でもあります。 実は精神科の専門看護には「精神科認定看護師」という国家資格があり、他ならぬ在宅看護のために取得しました。 在宅看護の現場で患者さんと接する中で、何も出来ない自分に愕然として、慌てて勉強しました。 「在宅看護」と、「精神科看護」にどう繋がりがあるか、疑問に思う方もおられるかもしれませんが、この2つはとても密接です。「認知症」と介護・看護する家族側のメンタルケアは、まさに「精神科看護の領域」なのです。 更に後期高齢者が増え、在宅医療や介護にお年寄りが増えると、「認知症」の方が増えます。その上、精神疾患の数が400万人から600万人に急増し、今なお増えている状況があります。
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