【京都のおすすめホテル・ディナー】アマン京都の極上日本料理店で夏の味をいただく
この日の椀は、澄んだ吸い地に牡丹の花のようにふわりと開いたハモがあるのみというまさにその思いを体現したような潔い料理に。通常であれば、野菜や湯葉など、椀妻を添えることが多いが、「振り柚子すら悩ましかった」と、髙木さん。ほかの具材を加えないことで、鱧や吸い地のおいしさが際立っている。 カウンター席に座ると、目の前で鱧の骨切りをしたり、ひきたての一番だしで椀を仕上げたり、臨場感も魅力だ。 カニをはじめ、調理する前にゲストに食材を披露することもあり、丹後とり貝は、ツヤツヤしていて大ぶりで肉厚。炙りまでいかず、”温める”程度に炭火でサッと焼き、甘みを引き出し、お造りで提供される。これまで食べていたトリ貝とはまったく違う、フレッシュ感、甘み、食感に驚くばかりだ。
この日の揚げ物は、白アスパラの天ぷら。素揚げに近いほど薄い衣をまとわせ、白アスパラの風味や水分を閉じ込めて。天つゆではなく、銀あんが添えられているのも珍しく、とろみがあるため、天ぷらとの絡みも抜群。銀あん自体も調味料より出汁の味が優勢。最後は飲み干したくなるほど優しい味わいだ。
肉料理にはすき焼きが登場。平井牛の薄切りロース肉をさっと甘辛い特製の焼きだれで火入れし、お皿で提供される。見た目はお馴染みのすき焼きとはまったく違うが、黄身おろしとネギを巻いていただくと、味わいはすき焼きそのものだ。 コースを最後までいただくと、髙木さんの言う「何を食べているかわかる料理」の意味が明確に。 お馴染みの食材や料理も、ムダなものをそぎ落とし、固定概念にとらわれず最適な調理をすることで、素材の味や輪郭がクッキリ。正統ながら無難に終わらず、記憶に残る料理になっている。 アマン京都「鷹庵」 住所:京都市北区大北山鷲峯町1 営業時間:12:00~15:00(13:00入店)、17:30~22:00(20:00入店) 定休日:無休 TEL. 075-496-1333 ランチ¥20,000、ディナー¥40,000(共にサービス料込) ランチ・ディナー共に前日20時までの要予約 TEXT BY JUNKO AMANO 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント