TikTok、今後の欧州での「罰金」に備えて1500億円準備か
TikTokはいま米国でも裁判中
TikTokが想定している罰金には、10代のユーザーと未成年の子どもの個人情報の取り扱いに関して昨年9月にアイルランドのデータ保護当局から科された罰金3億7000万ドルも含まれている。TikTokがこれまでに科された罰金としては最高額だ。TikTokは不服を申し立てており、罰金の最終的な額はまだ決まっていないが、TikTokに対しては近年、規制当局から制裁が相次いでいる。3月にはコンテンツの精査が十分でなかったとしてイタリア当局から罰金1100万ドルの支払いを命じられた。昨年は子どもの個人情報の取り扱いをめぐって英当局から1600万ドル、2019年には同様の理由でオランダ当局から100万ドル、米当局からも570万ドルの罰金を科されている。 TikTokは会計報告書に、オランダのプライバシーと消費者の権利に関する3つの財団から114億ドルの賠償請求も受けていると記している。オランダの裁判所は昨年9月、請求は認められないとの判決を下したが、その後、訴訟はオランダ控訴裁判所に持ち込まれている。TikTokはまた、違法なデータ収集を行ったとしてポルトガルの消費者権利団体から11億ドルの賠償請求も受けている。 報告書の中でTikTokは「上記の訴訟はまだ手続きの段階で、判例がなく、そのような賠償請求によって発生しうる財務への影響を推定することは現実的でないため、引当金は計上していない」と書いている。 TikTokはいま米国で、党派を超えてさまざまな州の司法長官から、アプリを意図的に中毒的な設計にして10代の若者の精神衛生を損なったとして提訴され、かなりの数の訴訟に直面している。バイトダンスはまた、来年1月までにTikTokの米国事業を中国以外の企業に売却しなければ米国でTikTokが禁止されるという、4月に可決・成立した法律についても法廷で争っている。12月6日までに連邦高裁の判断が示され、最高裁で争われる可能性が高い。
Iain Martin