石器素材に見る交流圏 小浜・県立若狭歴博でテーマ展
福井県小浜市の県立若狭歴史博物館でテーマ展「縄文時代、旅する石材」が1月13日まで開かれている。鳥浜貝塚(若狭町)で出土した国重要文化財の石器を中心に533点を展示。素材となる石の産出地を通じ、若狭地域の当時の交流圏をたどることができる。 鳥浜貝塚では縄文時代に使われた石の矢尻、木の実などをすりつぶす石皿など多様な石器が出土。そのうち573点が国の重要文化財で、すべて同館が所蔵している。近年、石の産出地を分析する技術が向上し、新たな発見につながったことなどから展示を企画した。 展示した石器は約1万2千年~6千年前のもので、501点が国の重要文化財。矢尻にはガラス質の黒曜石や切れ味の鋭いサヌカイトなどを使い、動物の骨や角を加工する砥石(といし)には柔らかめの砂岩を用いており石器の用途に応じ使い分けていたことが分かる。 これら石器の素材の産出地について説明。黒曜石は長野県や島根県の隠岐島、サヌカイトは大阪府と奈良県の境にある二上山や香川県と紹介。磨製石斧(せきふ)などに使う蛇のような模様が特徴の蛇紋岩は新潟県の糸魚川から長野県の姫川流域にかけて産出されており、若狭地域が広範囲につながりを持っていたことを解説している。 「白色ネフライト」と呼ばれる石で作られた約6千年前の耳飾りの破片は、近年の研究で中国や朝鮮半島の石と鉄分比率が同じであることが分かった。担当者は「当時から大陸ともつながりがあった可能性をうかがわせる」と話す。 今回の展示では常設展を含めると重要文化財573点すべて展示されているという。開館は午前9時~午後5時(入館は同4時半まで)。29日から1月2日は休館。常設展示料金で観覧できる。