内向的な子どもの〈タイプの違い〉を臨床心理士が解説。「内向型」と「HSC型」チェックリストで子どもの性質をチェックしよう
◆内向型・HSC型・トラウマ型 内向的という特徴については、さまざまな考えや研究があり、統一されていませんが、この記事では次の3つにわけて考えていきます。 性質をわけるほうが性格を理解しやすく対応策を検討しやすくなります。 (1)内向型……芯が強く、個性的な子ども。 (2)HSC型……周囲の影響を受けやすく、逆風の環境では萎縮しやすいが順風のときは誰よりも輝く。環境感受性が高い。 (3)トラウマ型…今までの傷つき体験の影響から情緒不安定になったり、消極的になったりしている。 HSCとは、Highly Sensitive Childの略で、生まれつき敏感で周りの刺激を受けやすい性質の子どもを指します。 アメリカの心理学者エレイン・アーロンが提唱し、日本でも「繊細な子ども」「人一倍敏感な子」などと呼ばれ、耳にしたことがある人も多いはずです。 内向型とHSC型は、性質が近いので特徴が重なる部分があります。 パーソナリティ研究で有名なドイツの心理学者ハンス・アイゼンクは「内向的な人は少しの刺激でも強く反応し、刺激を避けようとする」として、内向性には感受性の強さが含まれることを示しています。 また、アーロン博士は「HSCの中には内向的・外向的どちらのタイプもいる」と言っています。 人の性質は、はっきりと判別できるわけではありませんが、本記事の冒頭にある内向型・HSC型のチェックシートも参考にしながら、子どもの性質を確認してみてください。
◆トラウマ型の傷つき体験 ここにトラウマ型を加えた理由は、傷つき体験のある子どもが内向型やHSC型だと誤解されることがあるからです。 傷ついた出来事があると、元来の性質にかかわらず人は誰でも消極的になったり、些細なことに敏感に反応したりします。 それが、内向型やHSC型の性質と重なるので、区別が難しくなります。 トラウマという言葉から、虐待やネグレクトをイメージするかもしれません。 しかしそうではなく、小さい日常的な傷つきがケアされないまま、傷つき体験が繰り返されることでトラウマになることがあります。 たとえば、あいさつできないことを人前で叱る、もしくは「なんでできないの? もう知らない」と突き放すと、子どもは不安や怒り、悲しみを感じます。 本来、親は子どもにとっての安心基地であるために、このように親に冷たくされると子どもは完全な孤立状態に陥り、目がチカチカし、心臓がドキドキし、身体が硬直したり、冷たい汗をかいたりします。 頭の中は不安と恐怖でいっぱいになり、何も考えられない状態です。 親がこの状態に気がつかずに、フォローやケアをせずに繰り返すと、子どもは自分の中に閉じこもりがちになります。 さらに、情緒不安定になったり、些細なことに傷つきやすくなったりするのです。 この状態が、内向型やHSC型と誤解されることがあります。 トラウマ型は、傷のケアが必要なので、内向型やHSC型とは異なる理解と対応が必要です。 ※本稿は、『声かけで伸ばす 内向的な子のすごい力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
吉田美智子
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