政令市で最悪水準の熊本の交通渋滞 3年で30カ所の交差点改良へ
政令市で最悪水準とされる熊本市の交通渋滞緩和に向け、熊本県と市は26日、今後3年以内に取り組む短期対策で合意した。30カ所の交差点改良や1万人規模の時差出勤などを進めるとしている。公共交通機関の利用割合を倍増させるなど中長期対策の方向性も確認。半導体受託生産の世界最大手「台湾積体電路製造」(TSMC)の県進出もあり、深刻化する渋滞状況の改善を急ぐ。 短期対策の交差点改良は、熊本都市圏(熊本市と周辺)東部の国体道路やTSMCの工場に近い工業団地「セミコンテクノパーク」周辺で計30カ所を選定した。3年間で順次、右折レーンの延長や信号制御の最適化を進め、車の流れを良くする。既に県市で取り組んだ時差出勤は民間企業にも協力を求め、1年以内に1万人規模へ拡大するとした。 4~10年の中期対策では、交通手段で電車やバスなどの公共交通が占める割合(分担率)を現在の倍の水準に当たる約10%にするとの目標を掲げた。行政と交通事業者が一体となった連合組織を設け利便性向上を図る。 また、計画中の熊本市電延伸やJR豊肥線の輸送力強化も進める。道路ネットワーク整備などにより、都市圏内226カ所の主要渋滞箇所のうち80カ所の状況改善にも努めるとした。 11年以上の長期対策は市中心部と熊本空港、九州自動車道を結ぶ都市高速道路3路線(熊本都市圏3連絡道路)の整備などを盛り込んだ。 これらの対策は26日に熊本市役所で開かれた県・市調整会議で話し合われた。会議後、木村敬知事は「県民の不満を目に見える形で解消するスタートラインに立てた」と述べた。大西一史市長は「行政だけで解消はできない。県民、市民の協力を得て取り組んでいきたい」と語った。【中村敦茂】