「わくわくさん」こと久保田雅人、工作の可能性 ものづくりの喜びや楽しさは誰にでも通用する
断念した教員の道…それでも「先生の気持ち」に寄り添う
NHKで20年以上放送された子ども向け工作番組「つくってあそぼ」。その作中で、大ぶりな眼鏡も特徴的な「わくわくさん」を演じ続けたのが久保田雅人さんだ。番組が終了してからも、YouTubeで動画を配信したり、年齢を問わない工作教室や講演を行ったりと精力的に活動を続けている。実は中高の社会科の教員免許も所有している久保田さん。工作を通じてたくさんの子どもや大人と接してきた経験から、今の教育について感じることを語ってもらった。 【写真を見る】工作番組「つくってあそぼ」で「わくわくさん」を演じて人気に 「わくわくさん」でおなじみの久保田雅人さんは、大学時代までは教員を志していた。自身が高校生の頃、「こんなふうになりたい」と思える恩師に出会ったからだ。 「1、2年のときに受け持ってくれた数学の先生が、すごくいい先生だったんです。まったく本を読まなかった私に読書の楽しさを教えてくれて、見聞を広めるために一人旅に出ることを勧めてくれて、お調子者だけど教室の隅っこにいるような自分にも目を向けてくれた。私は理数系の科目がとにかく苦手で、それはもう数学から生物まで幅広くだめでした(笑)。でもその先生のことは大好きだったんです」 だが教育実習で行った母校の高校生が「全然言うことを聞かなかった」うえ、指導についた教員からも叱責されることが続いた。自分は教員に向いていないかもしれないと感じ、何とか免許は取得したものの、久保田さんは教員になることを諦めたそうだ。 とはいえ、順調に教員になった学生時代の仲間は多い。校長になった友人もいる。また、久保田さんも学校で講演する際など、現場を見る機会もたくさんある。「友人からもいろいろな話を聞いています。今の先生方は本当に大変だと思う」と、その気持ちに寄り添った。 「講演などのイベントで子どもたちと接しても、私はいわゆる『いちげんさん』で、その日限りの付き合いです。でも先生は子どもたちと毎日一緒にいて、勉強以外のこともつねに見ているのだから、そこに感じる責任は大きいでしょう。子どもの数が減っているとはいえ、一人ひとりに目を向けることが求められるようにもなっていて、その負担を考えればやはり教員数が足りない。話を聞いていても、みんな疲れているのがわかります」 現場の難しさを感じているが、だからこそ久保田さんは、教育の場で「工作」ができることを模索し続けている。