大学1年生にも内定で波紋の星野リゾート、“青田買い”と批判され… 採用担当が語る本当の狙い
「離職率が高い」は本当か
とはいえ、人手不足が指摘される観光業を営む星野リゾートである。結局のところ、その解消が目的ではないのか。 「日本の観光業の需要は大きく伸びており、この先10年で自動車産業に匹敵する規模にまで成長するという試算もあるそうです。そうした需要拡大に対し、日本全体の少子高齢化の問題が重なって、観光業全体での人手不足の現状は否めません。星野リゾートでも、コロナ禍明けの急速な需要回復で一時的な人手不足はありましたが、今は十分な人員で運営をできている状況です」(採用担当者) 星野リゾートではグループ全体で例年、700~800人の新卒を採用しているというが、採用サイトへの登録者はそれをはるかに上回っており、「定員割れ」とは程遠いほど、学生の人気就職先になっているという。 「ホテル業界は相対的に“低賃金”で“休みが取りにくい”と言われがちですが、星野リゾートでは初任給の引き上げや、既存社員の継続的な給与アップを実施しており、2024年度は約8%、2025年度は約5%の給与アップを予定しています。そうした取り組みも評価を頂いているのかも知れません」(同) SNSで噂される「離職率の高さ」についてはどうか。 「確かに、飲食業やホテル業を始めとするサービス業は比較的離職率が高く、近年の平均は20%前後と言われています。一方、金融業界等、比較的離職率の低い企業の基準はおおよそ8%程度というのが一般的な見方だそうです。弊社の離職率は後者の基準から大きく外れているわけではありません」(同)
早ければ年内にも“第1号”が
「就活時期の前倒しで学業が疎かにならないか」という意見についても聞いてみた。 「早くから就業体験を積みたいと希望する方には、インターンシップやアルバイトの機会を提供していますが、もちろん強制ではありません。入社時期も4月、6月、10月、2月から選ぶことができ、例えば“就職前に色んな国の観光地やホテルを見に行きたい”とこの制度を利用される方も少なくありません」(採用担当者) ちなみに、例えば2年生の時に内定を受けたあと、3年生の時に別業界に興味が移り、内定を辞退することは可能なのだろうか。 「内定辞退は可能です。ただ、できればそうならないよう、1・2年生で応募いただいた方については、ご自身の志望や適性と星野リゾートの仕事や価値観が合っているかを、より丁寧に確認していきたいと考えています」(同) 1・2年生からの応募も徐々に増えており、早ければ年内にも1・2年生の内定獲得“第1号”が生まれる可能性もあるそうだ。 星野リゾートの“意識改革”は就活市場の古い慣習を変える取り組みとなるのだろうか――。
デイリー新潮編集部
新潮社