今季自己最低の「39」 三笘薫が口にした反省「甘さが出た」…トップ6入りへ持つ“責任感”【現地発コラム】
少なかったプレー回数への自責の念
確かに、この日のマン・オブ・ザ・マッチに相応しいイウォビと比べれば、存在感は薄かった。本来はアウトサイドのアタッカーながら、センターハーフとして起用された相手MFは、ピッチの至る所にいたような印象で2ゴール以上のインパクトを残していた。 三笘のシュートは、前半35分にエリア外から打ってブロックされた1本のみ。3試合連続ゴールはならなかった。個人の問題ではないにしても、後半は右足でクロスを入れた17分以降、途中からシステム変更で4-2-3-1の左ウイングに入ったあともボールが集まってこなかった。 「39」というタッチ数は、フル出場した今季リーグ戦9試合では自己最低の数字だ。ほかにもう1試合、同じ数字に留まったケースがあるが、その第12節ボーンマス戦は、ポゼッションで敵を下回り、最後の約30分間は退場者を出して10人という状況だった。 もちろん、チームに頼られる存在は最後まで戦況打開に努めていた。タッチライン沿いでボールを持ったのは、後半40分。しかし、まだ1点差で逃げ切りを狙っていたフルハムがドリブル阻止に2人を割き、三笘はバックパスを余儀なくされている。その5分後、ペドロに代わって最前線に入っていたエバン・ファーガソンへのスルーパスは、チームメイトたちによる試みがそうであったように、やや強すぎた。 「チームとしてもう1個丁寧につなぐところと、自分が違いを作らないといけないところはありましたし。プレー回数が少なかったというのは自分の責任でもあると思う」と、三笘は話した。 ほぼひと月ぶりに土がついても5位のブライトンだが、トップ6争い参戦に意気込むフルハムには、ポイント数では「1」差の6位に迫られることになった。その下にも、やはり3ポイント差以内に6チーム。中2日での次節レスター戦と、続くクリスタル・パレス戦は、確実に勝ち点3を奪いたい下位戦だ。自覚ある三笘の「双肩」ならぬ、“両足”にかかる責任は重い。 [著者プロフィール] 山中 忍(やまなか・しのぶ)/1966年生まれ。青山学院大学卒。94年に渡欧し、駐在員からフリーライターとなる。第二の故郷である西ロンドンのチェルシーをはじめ、サッカーの母国におけるピッチ内外での関心事を、時には自らの言葉で、時には訳文として綴る。英国スポーツ記者協会およびフットボールライター協会会員。著書に『川口能活 証』(文藝春秋)、『勝ち続ける男モウリーニョ』(カンゼン)、訳書に『夢と失望のスリーライオンズ』、『バルサ・コンプレックス』(ソル・メディア)などがある。
山中 忍 / Shinobu Yamanaka