北村有起哉「朝ドラヒロインの父役から、家に帰れば息子2人の父に。送り迎えや食器洗いが僕の担当。応援してくれた妻・高野志穂への感謝」
噺家、硬派な刑事、テロリスト……ひとくせある演技で見る人に強烈な印象を与えてきた北村有起哉さん。現在放送中の朝ドラでは心配性の父親を好演している。家に帰れば2児の父で子育てに奮闘中という、名バイプレーヤーの素顔とは(構成=大内弓子 撮影=宅間國博) 【写真】北村有起哉さんが2児の父として思うことは… * * * * * * * ◆父の背中を見て学んだ人としてのあり方 現場にいかにいるべきかを学んだのは父からでした。親父に付き人が必要だったときに劇団の人がつかまらず、母から「鞄持ちをしてあげなさい」と言われて渋々ついていったことがあるんです。 そのときに初めて親父がどう撮影に臨んでいるのかを目の当たりにして、ちょっと衝撃を受けました。というのも、共演者の方やスタッフの方へ、想像以上にきちんと気配りをしていたんです。 セリフを覚えてちゃんとお芝居をするのは当たり前のこと。それ以上に大事なのは人としてどうあるべきかなんだな、と気づかされました。 周りはその人の人間性を見ているんだから、ちゃんとした人間でいよう。それこそが仕事をつなげていくために大事なことだと、肝に銘じました。
自分はずっと、緩やかだけれども地道に階段を昇っていきたいと思ってきました。じゃあ、一段一段昇っていくにはどうしたらいいか。それはもう、がむしゃらにやるしかなかったですね。 デビュー後は舞台が多かったんですが、僕の場合、業界内では北村和夫の息子だと知っている人もいましたから、「どんなもんだろうね」と、ちょっと意地悪な色眼鏡で見られることもありました。 でも、そんな考えを吹き飛ばすくらいのものを見せたかったし、逆に、「あいついいじゃん。えっ、息子なの?」と思ってもらえたりしたら本当に嬉しかった。 親の七光りと思われたくなくて、一人で気張ってやってきましたけど、必ず見てくれている人がいて、そこから次の舞台につながり、やがて大きな舞台になっていく。 それを映画やテレビの人が見てくれて声をかけてくれる。本当に一つひとつがつながって、北村有起哉という存在が認知されていったと思うんです。
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