“はやった”っていう自覚がない、真ん中にいたこともない――back numberが語る「サブスクに向けていない音楽」
2022年の「第73回NHK紅白歌合戦」に特別企画で初出場し、話題をさらったback number。多数のヒット曲を世に送り出しながらも、本人たちいわく「一度もはやった覚えはない」。コロナ禍の若者を勇気づけた「水平線」がもたらしたものなど、back numberの「現在」を3人が語った。(取材・文:山野井春絵/撮影:吉場正和/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
いただきものをお互いの家に持っていくことも
スタジオに現れたback numberの3人は、実に和やかなムードを醸していた。撮影の合間、冗談を言って笑うその姿は、まるで男子高校生が部室でじゃれあっているかのよう。スタジオでしか会わない大御所バンドのピリついた空気……のようなものは一切ない。「本当に仲がいいんですね」と声をかけると、清水依与吏(ボーカル、ギター)が「そうっすかね。長いですから」と照れたように笑い、小島和也(ベース、コーラス)が「長くもないけどね」と突っ込む。そんな2人をニコニコ眺める栗原寿(ドラム)。
清水「バンドって、会話の中で何かを思いつくとか、ずっとセッションしているようなもの。コミュニケーションが崩れたら、そのバランスは全部音に出ると思うんです。何が一番大事か、互いに尊重しながら3人でやっているということ。以前よりはみんな大人になってきていると思うので」 現在のスリーピースに落ち着いて15年、波風が立たなかったわけではない。 清水「ピンチもあったと思います。でも、その時々できちんとバランスを取る人間がいた。俺は曲を作る中で、最初はまったく正解がわからずイライラして、本当はシェアしなくていい感情を表に出したりすることもありました。それでも今ここで、気持ちよく音楽を続けていられるのは、2人に救われている部分が大きい。もちろん、ぶつかるというか、意見交換をすることは今でもあって、それがなくなったらダメだと思う。長いことやってきて、いろんな経験をして、今の気持ちがあるという感じです」