グッチ、五感で楽しむ回顧展を京都で アーカイブ集結させイマーシブに歴史を追体験
100年を超えるブランドの歴史をひもとき、伝統と革新が織りなす美の系譜をたどる。京都市京セラ美術館(京都市)で、2024年12月1日まで開かれているグッチの展覧会「GUCCI COSMOS(グッチ コスモス)」は、時代の荒波を越えて洗練と深化を続けてきたブランドならではの、雄大なスケール感に満ちている。 【写真を見る】多種多様な色調で赤を表現した「Red Threads ーグッチの絆」、美術館所蔵の統的絵画とともにアーカイブピースを眺められる「Leisure Legacyーライフスタイル賛歌」など魅力あふれる展示の数々はココからチェック そして、展示品の数々――日本でもなじみ深いロゴ模様「GGパターン」のキャンバス製バッグ、馬具から着想した「ホースビット」をあしらった靴など――そのいずれもが、長きにわたり受け継がれ、愛されてきたアイコニックなアイテムたちだ。 デジタル技術を駆使した目玉企画「グッチへの没入体験」をはじめ、昨今のハイブランドの展覧会の中でもひときわユニークな仕掛けが目を引く。本展のキュレーターで、イタリアのファッション研究家・評論家であるマリア・ルイーザ・フリーザさんに、本展覧会の狙いを聞いた。
■ブランドの物語、多様なレンズを通して伝える
――1921年に創業したグッチの集大成ですね。日本への上陸から60年という節目でもあり、非常に興味深く拝見しました。まず館全体にわたりクリエーティブな展示を展開するスケールに圧倒されました。コレクションで打ち出した「赤」に彩られた空間は官能的です。キュレーションにあたり、強く意識したことは何でしょう。 「グッチは100年以上にわたってファッションをはじめとする視覚文化のアイコン的な先駆者であり続けてきました。そのブランドの物語を、衣服、オブジェ、エレメント、人々、時代背景という多様なレンズを通して伝えることに重きを置きました」 「京都、そして京都市京セラ美術館という都市と会場の雰囲気にも配慮しましたね。2020年に展覧会の準備をはじめ、2023年4月から他国の都市を巡回した後、とうとう京都にたどり着きました。10月1日にスタートしてから毎日会場に来ていますし、マネキンに服を着せる作業なども自分でやっています」