「まさか続きが読めるなんて…」人が家畜の《ニンゲン農場》を描く衝撃の“グルメ”ホラー『動物人間』。著者が参考にした料理人の知人の話《インタビュー》
――生きている状態で自分の身体が食べられていく様子を見守るシーンや、人間たちがさまざまな料理として調理されていくシーンなど、第2巻の冒頭もかなり衝撃的です。 岡田:料理人をしている知人がいるので、その人に「もしも人間を調理するとしたら、どんな調理法が考えられますか?」と訊いてみました。人間は豚肉に近いとか、ちょっと脂っぽいとか、知らなかったことをいろいろ教えてもらえて、そこから使えそうなものをマンガのなかでも表現していったんです。その人もマンガ好きだったのでたくさんアイデアを出してくれたんですけど、喫茶店でそんな話をしていたものですから、周囲の人たちは怖かったかもしれませんね。 2巻を出せることになって、やっぱり冒頭は気合を入れようと思ったんです。1巻から少し間も空きましたし、読んだ人に「そうそう、『動物人間』ってこういう話だった!」と再認識してもらいたくて。だから内臓なんかも丁寧に描き込んで、自分の身体が食べられているのを見ている動物も描きました。『動物人間』らしい冒頭の物語が描けたな、と思います。 それと、冒頭に限らず、本作では8ページに1回はびっくりするような描写を入れています。それが続きを読みたいと思わせる引きになるとも思うので、次はどんなシーンを入れようかなといつも考えていますね。
岡田:ホラー映画は好きなんですけど、日本の作品は観られないんです。それこそ『リング』や『呪怨』なんかは中学生の頃にちょっと観て、あまりにも怖かった。だから、いまだにちゃんと最後までは観られない気がします。 一方で海外のホラー映画は楽しめちゃうんですよ。出てくるのは幽霊というよりもクリーチャーに近いですし、エンタメ感が強いじゃないですか。最近のものでいうと、『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』『TALK TO ME』なんかは非常に面白かったです。特に『動物人間』を描くようになってからは意識的にホラー映画に触れるようになったかもしれません。ネタ集めという意味だけではなく、ひとりの表現者として観ておいたほうがいいかなと。 映画のお話でいうと、『猿の惑星』も好きなんです。あれって人間側と猿側、どちらの目線に立つかによって受け止め方も変わりますよね。で、ぼくはやはり動物側の目線に立ちたいんですよ。だから『動物人間』もそうやって描いている部分があります。 ――なるほど。となると、やはり第2巻でメインキャラになる羊の少女がどうなっていくのか目が離せないですね。ちなみに今後の読みどころも教えてください。 岡田:まさにいま3巻を作っているところなんですが、今後は新しいキャラクターがたくさん登場します。彼らが交差するドラマを読んでいただきたいです。それと、やっぱりこの作品は残酷描写が持ち味でもあるので、そこも見てもらいたい。1巻より2巻、2巻より3巻がすごいって言ってしまうとどんどんハードルが上がってしまうので難しいんですが……。 そもそも『動物人間』に出てくる動物たちって、シンプルにいうならば「グルメ」なんですよ。で、グルメって自分なりのこだわりが強くて、ある種、変態的な側面もあるのではないかと。そういうこだわりが行き過ぎた動物たちが出てきたほうが物語にドライブがかかるなと思うので、今後も特定のこだわりを持ったキャラクターたちが登場してくると思います。そこも楽しみにしていただければ嬉しいです。 取材・文=イガラシダイ