お金を運用するのに必要なのは3つの「基本」だけ…山崎元氏が後世に残した、今年こそ始めたい超簡単な投資術
経済評論家の父から息子への手紙 #2
「一度しかない人生を、お金の心配をせず、自由に気分よく生きていくために」……2024年の元日に亡くなった経済評論家の山崎元氏が最後に遺した書籍『経済評論家の父から息子への手紙』には、健やかに人生を送るためのヒントが散りばめられている。 【画像】金融機関はネット証券大手を選びたい 中でも本当に誰でもが実践ができるお金の運用方法を、書籍から一部抜粋・再構成し、解説する。
お金の運用について必要な「基本」はこれだけ
手短に結論から述べよう。お金を効率良く増やすには、次のようにするといい。 (1)生活費の3~6カ月分を銀行の普通預金に取り分ける。残りを「運用資金」とする (2)運用資金は全額「全世界株式のインデックスファンド」に投資する (3)運用資金に回せるお金が増えたら同じものに追加投資する。お金が必要な事態が生じたら、必要なだけ部分解約してお金を使う 投資する金額の決め方、投資対象の選択、「買い」と「売り」のタイミングについて説明したので、お金の運用について必要な「基本」はこれですべて説明したことになる。簡単だろう? 「父ちゃんは、長年お金の運用を専門にしてきて、本もたくさん書いているのに、これだけかよ?」と君は言いたいかもしれない。だが、本当にこれでいいのだ。この運用法を上回ることは、運用の専門家にとっても簡単なことではない。 現実には、例えばNISAやiDeCoといった制度を利用すると得なので、使える制度は最大限有効に使うといいが、これらは、お金を運用する際に利用したら有利な置き場所であり、言わば「器」だ。その利用法は「基本」を実行する上でのアレンジに過ぎない。すべて、「全世界株式のインデックスファンド」ないしは、これに類似する運用商品に投資したらいい。 これらの制度について説明しない。制度は時々で変化するし、利用法は常識で分かるはずだからだ。
借金なしに済む「生活資金」は常に確保せよ
多少の支出の集中があっても借金をしないで済む程度のお金は、別途確保しておくべきだ。通常、生活費の3カ月から6カ月分くらいだろう。 クレジットカードのリボルビング払いやキャッシングなどの細かな借金もしないように注意せよ。これらの借金残高に対する金利は高く(例えば年率15%)、運用の期待利回り(株式でも短期金利+せいぜい5~6%)を遥かに上回る暴利だ。 父は、かつて大学で講義する際に、「デートの際にクレジットカードをリボルビング払いで決済する相手とは結婚しない方がいい」と毎学期教えていた。経済観念の乏しい相手と結婚すると苦労するからだ。