「成功する子ども」と「落ちこぼれる子ども」を見抜くたった1つの質問とは?
● 目の前にあるマシュマロを いま食べる?あとで食べる? 非認知能力の核となる要素のひとつが自己コントロール力だが、最新の心理学研究でも、自己コントロール力が人生の成功を大きく左右することが強調されている。 たとえば、心理学者モフィットは、1000人の子どもを対象に、生まれたときから32年間にわたって追跡調査を行うことで、子ども時代の自己コントロール力から将来の健康や富や犯罪を予測できることを発見した。 つまり、我慢する力、衝動をコントロールする力、必要に応じて感情表現を抑制する力など、自己コントロール力が高いほど、大人になってから健康度が高く、収入が高く、犯罪を犯すことが少ないことがわかったのである。 自己コントロール力といってもなかなか実感が湧きにくいという人もいるだろうから、わかりやすいようにマシュマロ・テストを紹介することにしたい。 自己コントロール力に関する研究の原点とみなすことができるのが、心理学者ミッシェルたちの満足遅延課題を用いた研究である。 その実験はマシュマロ・テストとも呼ばれるが、子どもにマシュマロを見せて、今すぐ食べるなら1個あげるが、研究者がいったん席を外して戻るまで待てたら2個あげると告げ、待てるか、待たずに食べるかを試すものである。これは、より大きな目標のために欲求充足を先延ばしできるかどうかをみるための実験といえる。
● 幼児期の自己コントロール力は 成人後の仕事や生活にも影響 ミッシェルたちは、保育園児550人以上にこのようなマシュマロ・テストを実施し、その子たちが青年期や中年期になったときにも追跡調査を行っている。 その結果、幼児期により大きな満足のために欲求充足を延期することができた者は、10年後の青年期には、欲求不満に陥るような状況でも強い自制心を示し、誘惑に負けることが少なく、集中すべき場面では気が散らずに集中でき、ストレスにさらされても取り乱さずに建設的な行動をとりやすいことがわかった。 さらに、20代後半になったときも、長期的目標を達成するのが得意で、危険な薬物は使わず、高学歴を手に入れ、肥満指数が低く、対人関係もうまくやっていくことができるというように、自己コントロールがきちんとできていることが確認された。 その後の追跡調査をみると、40年後の中年期になっても、相変わらず高い自己コントロール力を維持していたのだった。