殺害された保護司から服役中に届いた手紙『皆さんの温かさに報いてもいないうちに夢を語るのは早すぎます』を胸に 更生支援を受けた男性「何も恩を返していない...なんでこんなことに」
滋賀県大津市で保護司の新庄博志さん(60)が殺害される事件が発生した。逮捕されたのは新庄さんが更生支援を担当していた男だ。事件発覚から1か月。保護司であった新庄さんのおかげで立ち直れたという男性と、新庄さんを慕って保護司になった男性が、初めて実名・顔出しで取材に応えてくれた。 【写真で見る】『社会復帰ではなく、社会の門をくぐって来てくれる事を念じて止みません』将来の夢を綴った男性に…新庄さんが書いた“返信”
10代のころから繰り返し非行…それでも支え続けてくれた保護司
滋賀県大津市に住む谷山真心人さん(27)。窃盗罪などで去年8月まで刑務所に服役していた。現在は飲食店に卸す野菜を作っている。 (谷山真心人さん)「ミニトマトの苗を今から植えていきます。元々少年院で畑作業を経験していたので、それを今の会社に伝えたら、土地があるからやろうかって」 学校にもまともに通わず、10代のころから非行を繰り返してきた。しかし何度道を踏み外しても支え続けてくれた人がいた。谷山さんの保護司だった新庄博志さんだ。 (谷山真心人さん)「初めて保護観察を満了して、記念で新庄さんと撮った写真です。『もう悪いことすんなよ』とか、『いい環境にいるんやからここで地に足をつけて頑張れよ』と。僕の社会生活も道半ばだったというか、何もかっこいいところを見せられていなかったので、なんでこんなことになってしまったんだろうなって」
担当保護司を殺害した疑いの男 その「人物像」
逮捕された飯塚紘平容疑者(35)。新庄さんを刃物で刺して殺害した疑いが持たれている。犯行当時は保護観察中で、新庄さんが担当の保護司だった。 2人の接点は5年前。飯塚容疑者が大津市内のコンビニから現金を奪った強盗の罪で保護観察の付いた執行猶予判決を受けたことがきっかけだった。 保護司とは、罪を犯して保護観察がついた人の立ち直りを地域で支える民間のボランティアだ。専門的知識を持つ国家公務員の保護観察官と連携し、月に数回、保護観察中の人と自宅などで面接して社会復帰を手助けする。 飯塚容疑者も新庄さんの家のすぐ近くに住んでいて、今年4月以降、3回面接を受けていた。しかし事件はその面接の最中に起きたとみられている。 飯塚容疑者はどんな人間だったのか。周辺を取材すると、その人物像が見えてきた。 (飯塚容疑者を知る人)「人とあまりコミュニケーションを取らない。急にキレはりそうな感じですね。(何か言っても)ずっと黙っているけど、別に言い返してくるわけでもないし。かといって一生懸命人の話を聞いているわけでもなさそうで」 さらに、本人のものとみられるSNSには、保護司の新庄さんや保護観察の制度について不満をほのめかす内容が投稿されていた。 【飯塚容疑者とみられるSNSより】 「今日は僕の家に保護司がく~るくる」 「保護観察とか~。全然保護しない」 「やっぱり保護って言葉は要注意ワード」 また、新庄さんが飯塚容疑者の対応に手を焼いていたこともわかってきた。