殺害された保護司から服役中に届いた手紙『皆さんの温かさに報いてもいないうちに夢を語るのは早すぎます』を胸に 更生支援を受けた男性「何も恩を返していない...なんでこんなことに」
(更生保護団体の関係者)「新庄さんから、自分が担当している対象者の仕事先を紹介してもらえないか、と相談を受けました。ところが2か月くらいで辞めて帰ってきよったと。なんで辞めたのかなと新庄さんにお聞きすると、(飯塚容疑者は)自分に対する正当な評価をしてもらえない、と」
新庄さんの勧めで保護司となった男性「頼れて相談できる先輩でした」
新庄さんの死を惜しむ声は今も後を絶たない。大津市の保護司・宮本一幸さん(56)。新庄さんとは30年の付き合いだった。今回、初めて取材に応じた。 (宮本一幸さん)「偉大な先輩でした。本当に残念な人をなくしたなと。これからもますます活躍していただけたらなと思っていたのに」 13年前、青年会議所の先輩だった新庄さんから勧められて保護司となった。尊敬できる先輩だったという。 (宮本一幸さん)「『社会に役立つことをお前もせなあかんやろ』みたいな感じで、『今からは恩返しや』みたいな感じで誘われました。やっぱり頼りがいがある、何かあったときには頼れる、相談できる先輩でしたね」 これまでに約30人の保護観察にあたってきた。取材した日も面接が入っていた。
保護観察中の男性「会って近況を話すだけでもストレスは減る」
やってきたのは保護観察中の40代男性。海外から覚醒剤を密輸した罪で実刑判決を受けたが、仮釈放が認められて保護観察となり、2週間に一度、面接を受けている。今年8月で刑期を終え、保護観察も満了するという。 (宮本さん)「8月までは仕事を考えて?ゆっくり吟味して?」 (保護観察中の男性)「この年で何かというとやっぱり限られてくるので、その中から自分の興味のある仕事を探していこうとは思っています」 (宮本さん)「ご家族もOK?また家を空けることになるけど」 (保護観察中の男性)「それはおかんが言うてましたけどね。近くにいてほしいみたいな」
再犯は孤立を深めた先にあると言われている。今、男性にとって宮本さんは心の拠り所だという。 (保護観察中の男性)「相談する相手がいないのは結構しんどいと思うので。やっぱりこうやって2週間に1回でも会って近況を話すだけでもやっぱりストレスは減るので。近所に住んでいるのも大きいんちゃいます。歩いていける距離に住んでいる優しいお兄さんが『もうやったらあかんぞ悪いこと』という話をいつもしているので」 「味方であり続けたい」。宮本さんはそう思って続けてきたが、新庄さんの事件以降、こんな思いも抱くようになったという。