学童保育「待機児童」コロナ禍で減ったが…再び増加し1万6000人、自治体の対応策は
下校後の小学生を預かる放課後児童クラブ(学童保育)で、各自治体が、希望しても利用できない「待機児童」の解消に取り組んでいる。待機児童は、コロナ禍で減少したが、2022年以降増加に転じ、全国で23年は約1万6000人に上った。こども家庭庁も待機児童の受け皿づくりを「喫緊の課題」と位置づけて財政支援を打ち出しており、各自治体は、開設時間の拡充や民間と連携した受け皿整備、人材確保などを進めている。(浜崎大弥、大森祐輔) 【動画】子どものむし歯の原因や傾向、予防法などを聞いた
働き方多様化
「お母さんが迎えに来たよ」
5月28日午後6時半頃、宮崎市立大塚小の敷地内にある放課後児童クラブ「大塚児童クラブ」で支援員の女性が、1年生の女子児童に声をかけた。
4813人がクラブに登録している同市は今年度から、市が指定管理者を設けたり、運営を委託したりしている全108教室中50教室で時間の拡充を始め、1時間延長して午後7時まで開設している。多様な働き方の支援が目的で、土曜や長期休み期間も、受け入れ開始を30分早めて午前7時半とした。
大塚児童クラブに迎えに来た同市の児童センター職員、坂口真理子さん(41)は、車で約30分かかる職場で午後5時半まで勤務している。坂口さんは「間に合わないと児童クラブに迷惑をかける。時間が延長されて精神的にも楽になり、本当に助かる」と感謝していた。
全国的にも多くのクラブが開設時間を夕方遅くまで延長し、平日午後6時以降まで対応するクラブは05年は3割弱だったが、23年は8割超に達した。
「小1の壁」
内閣府男女共同参画局によると、共働きの世帯数は23年、1206万世帯で、1985年の718万世帯から1・6倍超に増加した。夕方に未就学児を預かる幼稚園や保育園などは多い一方、小学校では放課後の受け入れ先は少ない。入学後に放課後の受け入れ先がなく、働きにくくなる問題は「小1の壁」と呼ばれる。
国は2018年に公表した「新・放課後子ども総合プラン」などで、空き教室の利用など受け皿拡大策を講じるよう各自治体や教育委員会に通知。場所や人員を確保する取り組みには補助金を支給している。