子どもが生まれても何も変わらない夫やワンオペ育児の悩み… 父親になれない夫に絶望【書評】
子どもが生まれても父親になれない男性もいる。妊娠中に自覚が芽生えなかっただけでなく、いつまでも自分優先で妻や子どもを蔑ろにする人もいるのだ。『今日から別居します 産んだら夫を嫌いになりました』(おかめ/KADOKAWA)では、そんな父親になれない夫に絶望するリアルな妻の姿が描かれている。育児中の女性はもちろん、子を持つ男性にもマネしてはいけない夫の言動を描いた教科書としておすすめしたい作品だ。 【漫画】本編を読む
主人公のさくらは夫のたくやと愛し合って結婚し、長男のゆうとが生まれて幸せの絶頂にいた。しかし、昔気質の会社に勤める夫は子どもが生まれても飲み会を減らすことはなく、ワンオペの家事と育児でさくらは限界を迎えてしまう。頑張って保育園に入れようと保活をするも全て落ちてしまい、ずっとひとりで育児している孤独感に襲われていた。 そんな辛さを素直に夫に伝え、育児を手伝ってくれるように訴えるも「俺がいてもあんまり変わらなくない?」と流されてしまう。SOSを伝えているのに最も近くにいる夫に助けてもらえない絶望は、想像を絶する辛さだろう。
育児に協力してくれないばかりか、勝手に人を家に上げて飲み会の2次会を開く夫。それだけには留まらず、飲みすぎて朝帰りまでするようになっていく。
自分勝手な言動はますます加速していく。残業だと嘘を吐いてキャバクラ通いにパチンコ、飲み会とお金を使い込み、借金まで作ってくる夫。「節約しろといわれたくない」「キャバ嬢との連絡を浮気だと騒がれたくない」「仕事のストレスもある」から好きに発散していたというのだ。 どれだけ自分勝手で父親の自覚がなくても残業をがんばってくれていると信じていたのに、信用も信頼も全てぶち壊してしまった。こんな夫との離婚を考えるのは当然のことだろう。だが、子どものいる家庭での離婚は決して簡単なことではない。さくらはひとりで子どもを育てていく未来を想像するも、「父親と引き離すことなんてできない」と子どものために我慢することを選ぶ。