「早朝や週末に勉強時間を確保」はやめたほうがいい…日常生活に「滞り」が生じ大損必至のNG時間術
■学業もアルバイトも常にやることが多い現代の学生 学生の場合、社会人と比べて、自由な時間を多く確保できます。とはいえ、昔の学生と違い、今の学生にはやることがたくさんあります。 とくに理工系の授業では発表や実験レポートの提出などがあるし、講義形式の授業でも毎回のように課題が出ます。しかも、授業後にアルバイトをしたり、ダブルスクールに通ったりといった学生も少なくありません。 それゆえ、意識の高い学生の悩みのほとんどは効率的な時間の使い方やアルバイト、就職活動ということになり、その滞りをいかに解消していくかということになります。 もっといえば、学業との両立という観点からのアルバイトに関する悩みは、時間の使い方以外に人間関係が複雑だったり、業務上のトラブルに直面したりするケースも少なくありません。 そこでいつも私が感じるのは、学生の悩みの多くは、試験期間の直前など大学生にとっての繁忙期とアルバイトの繁忙期がある程度重なってしまうことです。 その結果、「定期試験とアルバイトが重なってしまったのですが、どうしましょうか」といった悩みが出てくることになるのです。 ■滞りをなくすために優先順位を明らかにする 実際、12月中旬以降の年末年始は、アパレルなどの小売店舗ならばバーゲンセール、居酒屋などの飲食業ならば忘年会や新年会と、それぞれ繁忙期、かき入れ時。アルバイトにもフル稼働してもらいたい状況です。 そのため、「ムリをしてもなんとか出てきてくれよ」と店長や責任者に懇願されると、人のよい学生ならばOKしてしまいます。 そこで、私は物流におけるピーク対応の考え方を取り入れて、その場の雰囲気に流されずに、学業とアルバイトの2つのピークの波動をずらしていくことで乗り切る方法をアドバイスするようにしています。 もちろん学生の場合、学業優先となるわけですから、年末年始のアルバイトのピークは「協力できるのは年末だけで、年始は休ませてほしい」「年始のみだが、加えて試験期間は休ませてほしい」といった方針を一緒に考えることにしています。 アルバイトのピークが学業のピークと重なるような業種ならば、アルバイトを始める段階であらかじめ「試験期間中とその前後は休ませてほしい」ということを繰り返し伝えておく必要があります。 それだけですべてがうまくいくわけではありませんが、「自分にとって優先すべきタスクは何で、そのためにはそれ以外のタスクのピークにいかに対応していくか」ということを考えることで、解決策が見えてくるのです。 ---------- 鈴木 邦成(すずき・くにのり) 物流エコノミスト、日本大学教授 一般社団法人日本ロジスティクスシステム学会理事、電気通信大学非常勤講師(経済学)。専門は物流およびロジスティクス工学。物流改善などの著書、論文多数。普段から学生やビジネスパーソンから専門分野に関する相談を受ける一方で、就職、転職、資格試験の勉強方法、職場での時間管理や人づきあいなど、幅広い悩みについても意見を求められるという。そうしたやりとりのなかで、物流・ロジスティクス工学の知見を、「仕事や人生の滞りをなくす」という視点から悩みに当てはめることで、思いがけない解決策を導けることに気づく。主な著書に『トコトンやさしい物流の本』『入門 物流(倉庫)作業の標準化』『トコトンやさしいSCMの本』(いずれも日刊工業新聞社)、『シン・物流革命』(中村康久氏との共著、幻冬舎)、『物流DXネットワーク』(中村康久氏との共著、NTT出版)などがある。 ----------
物流エコノミスト、日本大学教授 鈴木 邦成