【解説】プーチン大統領、24年ぶり訪朝 ロシアと北朝鮮、それぞれの思惑は?
■経済分野で…透けて見えたプーチン大統領の野望
森キャスター 「今回の首脳会談では、経済の分野でも意見が交わされたんですよね」 NNNモスクワ支局長 平山晃一記者 「そうなんです。プーチン大統領のある野望も透けて見えます。訪朝を前にした北朝鮮メディアへの寄稿の中では、北朝鮮と密接に協力し『西側の統制を受けない貿易や相互決済システムを発展させる』などとしていて、両国で連携し国際社会による制裁に対抗する姿勢を示しました。制裁が長期化する中、北朝鮮などと共に、西側諸国に対抗できる独自の経済圏を構築したい狙いもあるとみられます」 森キャスター 「対西側への意識があるということですね」
■北朝鮮の思惑は?
森キャスター 「続いてソウル支局長の横田さんに聞きます。北朝鮮側から見て、今回の訪問の思惑はどこにあるんですか?」 NNNソウル支局長 横田明記者 「北朝鮮としてはまずは『プーチン大統領に訪問してもらった』、このことだけで一定の目的を果たしたと言えます」 「北朝鮮としては、日本や韓国、アメリカが連携を強化し、いわば“包囲網”を狭めてきている中で、ロシアや中国などの大国を巻きこんでこれに対峙(たいじ)したい思惑があります」 「北朝鮮とロシアは去年の首脳会談以降、急速に関係を深めていて、北朝鮮にとってみると、今回のプーチン大統領の訪朝は関係強化の第一段階の仕上げとも言えそうです」
■ロシアとの関係強化で経済立て直しを
森キャスター 「北朝鮮が自身の存在感を高めたいということ、さらに今回の関係強化、その先に北朝鮮はどのようなことを見据えているんでしょうか?」 NNNソウル支局長 横田明記者 「ロシアとの関係強化を通じて落ち込んでいる経済を立て直したいとみられます。北朝鮮は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、事実上の国境封鎖を行っていました。これを全面的に解除した去年までは物流もほとんど停まっていました」 「この影響で外貨や物資だけでなく食料も、深刻なほどに不足していると指摘されています。ロシアと関係を深めることで物流も活発に行えますし、労働者の派遣などでも外貨を得ることができます。北朝鮮にとっては経済立て直しの大きなとっかかりを得たことになります」