【解説】プーチン大統領、24年ぶり訪朝 ロシアと北朝鮮、それぞれの思惑は?
日テレNEWS NNN
北朝鮮を訪れているロシアのプーチン大統領と金正恩総書記との首脳会談が行われました。NNNモスクワ支局長の平山晃一記者、そしてNNNソウル支局長の横田明記者が、北朝鮮・ロシア、それぞれの思惑について解説します。
■今回の訪朝 ロシアの思惑は?
森圭介キャスター 「そもそも今回のプーチン大統領の北朝鮮訪問、その思惑は何なのでしょうか?」 NNNモスクワ支局長 平山晃一記者 「表向きは幅広い分野での両国の関係強化ですが、水面下ではウクライナでの軍事作戦に使う砲弾などの支援を引き続き北朝鮮に求める狙いがあるとみられます」
■北朝鮮はロシアの“砲弾の生産工場”
森キャスター 「国力でみてみますとロシアのほうが上ということなんですが、そんな中で北朝鮮の支援はロシアにとってどれくらい重要なものと考えていいのでしょうか?」 NNNモスクワ支局長 平山晃一記者 「ロシアにとって北朝鮮はいわば『砲弾の生産工場』として軍事作戦に欠かせない存在となっています。これまでに約480万発の砲弾の提供を受けたと報じられています。この480万発という数のインパクトですが、ロシアの年間の砲弾生産能力が一説には約300万発という報道もあり、それをはるかに上回る量です」 「欧米によるウクライナへの砲弾供給量をもはるかに上回っていて、ロシアは北朝鮮製の砲弾により、いわば物量作戦で、これまで戦況を優位に進めていたんです」
■24年ぶりの訪朝 背景には「ウクライナへの軍事作戦」
森キャスター 「プーチン大統領にとっては北朝鮮を訪れるのは24年ぶりということになりますが、その背景には一体どんなものがあるのでしょうか」 NNNモスクワ支局長 平山晃一記者 「実はいま、ウクライナへの軍事作戦でロシアにとっては正念場を迎えています。そのため、より北朝鮮の支援を必要としているんです。というのも、アメリカによるウクライナへの追加の軍事支援も次第に前線に届きつつあり、5月以降、アメリカなどは大きな方針の転換に踏み切っています」 「欧米がウクライナに供与した兵器で、ロシア領土への直接攻撃を一部容認するというもので、これにより、今年5月にロシア軍が始めたハルキウ州などへの大規模な攻勢は、勢いを失っています」 「プーチン大統領は今回、わざわざ北朝鮮に出向くわけですから、こうした欧米の支援の強化に対抗する意味でも、さらなる兵器や砲弾を求めることは『ほぼ確実』だとアメリカは警戒しています」