【博多ストーカー殺人】裁判メモ(1)「結婚を考えた」女性に、男は「刃物を手に取り」「17回刺した」
去年1月、福岡市のJR博多駅近くの路上で、元交際相手の女性を刺して殺害したとして殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われている寺内進被告(32)の裁判が6月17日にはじまりました。法廷で明らかになった事件の経緯、被告や目撃者の証言など、TNC裁判担当記者のメモをもとに詳しく伝えます。
◆どんな事件か?
起訴状によりますと、寺内被告は2023年1月16日午後6時すぎ、JR博多駅近くの路上で、元交際相手の川野美樹さん(当時38)の帰宅を待ち伏せして追いかけ、胸や頭などを刃渡り約24センチの包丁で何度も刺して殺害したとされています。 寺内被告は2022年11月、ストーカー被害を警察に相談した川野さんの職場に押しかけるなどして、警察からストーカー規制法に基づく「禁止命令」を受けていました。 寺内被告をめぐっては、2022年8月、川野さんに声をかけた男性を殴り顔を骨折させるケガをさせた傷害の罪に関して、すでに裁判が行われていて、今年3月に有罪判決を受けています。
◆初公判はじまる(6月17日)
注目の初公判は福岡地裁で6月17日午前10時ごろ開廷。寺内被告は紺色ジャージ、下グレージーパン姿で、白いマスクをして、髪は丸坊主、うつむきがちに入廷してきました。 <裁判長と寺内被告のやりとり> Q「おはようございます」 A「おはようございます」 Q「名前は?」 A「寺内進です」 Q「年齢は?」 A「32歳です」 Q「住所は?」 A「百道拘置所」 Q「職業は?」 A「今は無職です」 罪状認否で、寺内被告は「刺したことは間違いないですが待ち伏せしたことは違います」と殺人罪については認め、ストーカー規制法違反の罪については否認しました。 弁護側は「待ち伏せした事実はありません」「恋愛感情はすでに失っていて、それに対する怨恨はない、ストーカー規制法については無罪」と主張しました。
◆事件発生までの時系列(寺内被告)
法廷内での証言やTNCの取材により明らかになった、寺内被告の事件当日までの主な出来事は以下の通りです。 <2020年> 10月ごろ 川野美樹さんが会員制クラブで働きはじめる <2021年> 12月ごろ ショットバー(川野さんの店と同系列)で働きはじめる <2022年> 4月ごろ ショットバーに客としてきた川野さんと出会い、交際始まる 8月13日 傷害事件発生(寺内被告が、川野さんに声をかけた男性を殴り顔を骨折させる) その後、寺内被告の自宅が何者かに襲撃される 10月下旬 川野さんの浮気を疑い、川野さんの携帯電話を取り上げたり、出勤に待ち伏せしたりする。このころ2人の交際関係は破綻。 10月24日 ストーカー規制法に基づく「警告」を受ける。 11月10日~21日 川野さんを勤務先会社で待ち伏せ。川野さんに復縁を求めるが拒まれ、川野さんの勤務先の会員制クラブに押し掛ける。 11月23日 川野さんに「恨んだるから覚えとれや」など5通のメッセージを送る 11月26日 ストーカー規制法に基づく「禁止命令」を受ける <2023年> 1月16日 JR博多駅前の路上で川野さんが殺害される