【博多ストーカー殺人】裁判メモ(1)「結婚を考えた」女性に、男は「刃物を手に取り」「17回刺した」
◆“少なくとも17回突き刺す”(検察側の冒頭陳述)
<殺人事件当日の状況について> ・2023年1月16日、寺内被告は手提げバッグに身御(みおろし)包丁を入れて自宅を出る。 ・午後6時1分、川野さんは勤務先会社を退社し、家族にこれからJRで帰宅する旨のメッセージを送信する。 ・午後6時3分、寺内被告は福岡市博多区の歩道上で立ち止まり、川野さんを待ち伏せする。 ・午後6時6分、寺内被告は帰宅途中の川野さんを発見して近づき、川野さんの傘に自分の傘をぶつけ「おい」などと声をかける。 ・その後、午後6時13分にかけて、寺内被告はJR博多駅に向かって歩いていた川野さんに約173メートル追従する。その間、川野さんに警察に被害申告したことへの文句を言い、そのことへの謝罪を求めるなどする。 ・午後6時13分、寺内被告は、川野さんから「離して、しつこい。警察で話そう」などと言われて激高する。殺意を持って手提げバッグから身卸包丁を取り出し、正面に立っていた川野さんに対し、逆手に持った包丁を振り下ろして、右前胸部付近を突き刺し、その場に転倒させ、うつ伏せの川野さんの頭部、後頚部、背部等を少なくとも17回突き刺す。川野さんは多数刺切創にもとづく失血により、その場で死亡。寺内被告は犯行に用いた包丁を手提げバッグに入れ、その場から逃走する。 以上のように述べた上で、検察側は「被害者を逆恨みした悪質性が高い犯行」「法治国家への挑戦とも言える」と指摘しました。
◆「偶然が重なった」(弁護側の冒頭陳述)
一方、弁護側は冒頭陳述で、事件前に寺内被告は自宅のガスや電気が止められるほど生活が苦しかったとした上で、犯行当時「待ち伏せの事実はない」と主張しました。 <弁護側の主張> ・偶然が積み重なって起きた事件である ・待ち伏せの事実はない ・寺内被告があらかじめ包丁を準備したわけではない ・寺内被告は傷害事件後、(被害者の)男たちからの仕返しだと思う ⇒寺内被告の家の前で男たちが待ち伏せしているなど ・寺内被告の家が襲撃される ⇒バールでガラス割り侵入、荒らされる ・男たちからの仕返しと思い、命が危ないと感じて包丁2本を持ち歩くようになった ・ホテルを転々として暮らしたが、川野さんも度々ホテルへ来ていて、関係は当時は良好だった ・ホテル代で生活がだんだん厳しくなる ・1カ月ほど生活し転居先が決まる ・借金が増え、ガスや電気が止まる ・川野さんと会えずにすれ違いが増え、ストレスも増える ・川野さんの浮気を疑うようになり(携帯電話に)GPSアプリを入れる ・事件当日は、JR博多駅バスターミナルのケータイショップにケータイ代を支払いに行った ・明日からの生活をどうするか迷って立ち止まった ・支払うのをやめようと思って引き返したところ、川野さんが目にとまって傘を当てて止めた ・川野さんが警察に相談したことなどでカッとなった ・いろいろな偶然が重なって起こった事件