若年性EDで苦しんだ神田伯山「悩みを抱えて孤立しないことが大事」 #性のギモン
「歯が痛い時に歯医者に行くのと同じ」ED外来に行くことは変なことじゃない
――ご自身が若年性EDだったことを発信する中で、印象に残ったことはありますか。 神田伯山: 例えば、中学生の時、母親がノックをせずにドアを開けて部屋に入ってきたと。普通に勉強している時ならいいんです。でも、マスターベーションをしている時だったら、パッと隠さなきゃいけない。これって本人だけでなく、親も気を遣わなきゃいけないと思うんです。というのも、僕が親に見つからないよう、できる限りティッシュを使わず、短時間で済ませる間違ったマスターベーションをしていた。どんなやり方だよと思うかもしれませんけど(笑)。今考えるとそれもEDの要因の一つだったんじゃないかなと。 もちろん、母親を責める気はないんです。こんなことはどこの家庭でもよくありますし、鍵をかければ良かったんです。だけど、冗談っぽくそのエピソードをラジオで話したら、あるお母さんが「私も息子がいるから気をつけなきゃ」ってSNSで書いてくれていた。思わぬ方向でしたが、お母さんの視点という形で広がってくれたと思って、ちょっとうれしかったです。 家族間のそういったデリカシー問題というのは、親子間、兄弟間であっても、意外と粗いですよね。同性であれば、ある程度、空気感で分かると思うんですけど、母親と息子のように異性だと結構分かりづらいと思います。 ――性に関する悩みを持っている人に対して、ご自身の経験をふまえて伯山さんはどのように接したいと思っていますか。 神田伯山: 僕自身、若年性EDで悩んでいた時、「医者にすぐ行った方が良いよ」と声をかけてくれる人がいたら、もっと落ち着いていただろうなって思います。だから、もし僕の話を聞いて、同じような病気で悩んでるなら、迷わずお医者さんに行くのが良いと伝えたいです。今、ED外来はとても充実していますし、別に変なことじゃない。病院もそういう感じで受け入れてくれます。歯が痛かったら歯医者に行けば良いし、EDだったらED外来に行けば良い。それだけなんです。 でも、人間というのは未熟だったり、いろいろと感情が入ってきたりしてすぐに行動できない。このあたりを後押ししてあげたいです。孤立させないっていうのは大事なことだと思います。 ----- 神田伯山 1983年、東京都生まれ。講談師・ラジオパーソナリティ。2007年三代目神田松鯉に入門し、松之丞を名乗る。2012年二ツ目昇進。2020年真打に昇進し、六代目神田伯山を襲名。TBSラジオ「問わず語りの神田伯山」でパーソナリティを務めるほか、バラエティ番組などにも多数出演。2020年からYouTubeチャンネル「神田伯山ティービィー」をスタートし、第57回ギャラクシー賞受賞。 文:冴島友貴 (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました) 「#性のギモン」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。人間関係やからだの悩みなど、さまざまな視点から「性」について、そして性教育について取り上げます。子どもから大人まで関わる性のこと、一緒に考えてみませんか。