ファーストサマーウイカが語る『光る君へ』。清少納言が定子の「光」だけを書き残した理由
「ききょうは自分に近い人物。知れば知るほど不安は消えていった」
―初の大河ドラマで清少納言役を演じることが決まったときは、どう感じられましたか? 清少納言という人物をはじめはどう捉えていましたか。 ウイカ:役が決まる前、チーフ演出の中島由貴さん、制作統括の内田ゆきさん、そして脚本家の大石静さん―私は御三家と呼んでいますけど(笑)―と、面談みたいなものをさせていただいて。私は最終プレゼンみたいな気持ちで挑んだんですが、そのときは他愛もない話も含めていろんな話をして、(その後)決定の連絡をいただきました。 日本の教育を受けていたら、おそらく詳細は知らずとも清少納言という名前はみんな知っていると思います。印象的な女性の歴史上の人物はそこまで多くないと思いますが、そのなかでも紫式部のライバルと称される存在を、紫式部が主役のドラマで演じる。嬉しい気持ちでいっぱいだったんですが、そのことには度肝を抜かれたというか、驚きがなにより大きかったです。自分だったらかなり注目する配役ではあるので、吉高由里子さん演じる紫式部のお相手に不足ないようなキャラクターになるといいなと考えていました。 でも、役が決まってから『枕草子』や彼女に関わる本を読んで、考え方や表現の仕方が非常に自分に近い人物だなと思いました。「自分を見ているみたいなんですよね」というのは言い過ぎじゃないかもしれないと思えるくらい、親近感を持ってキャラクターと接しています。 それは大河ドラマで珍しいことかもしれないと思うんです。歴史上の人物を演じる方で、たとえば「家康、自分に似てるんですよね」っていう人はあまりいないと思うんです(笑)。ここまで感情移入できる人はいなくて、彼女を知れば知るほど、不安というものは消えていきました。
悪いのは、だいたい道長? ききょうとまひろの変化する関係性
―紫式部とはライバルというイメージですが、本作では友人のような関係でもあります。その設定についてはどう感じていますか? ウイカ:まず事実として、『紫式部日記』のなかに清少納言の悪口が書かれているので、まひろとききょうの関係性はある程度ネタバレされているんですよね。だからこそギャップを持たせて、最初は近づけておこうという大石先生のアイデアは本当に物凄いなと思いました。 実際は友達というより、若干の先輩後輩感がありますよね。圧が強めの先輩と、基本的に苦笑いしてくれる後輩みたいな……(笑)。その関係がひっくり返って、最後にああいう言葉を残すまでになるのは、どこかで崩れてしまうということなので。 まひろが強くなっていくのか、ききょうが崩れるのか、私自身もまだわからなくて。でも、悪いのはだいたい道長なんですよね(笑)。もちろんききょう目線から見た世界ですが、道長のせいで清少納言というか、定子さまたちは大変な目に遭っていますから。