【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・ゴルフGTI マイルドな乗り味に改良 悔やまれるMT不在
はじめに
新たなフォルクスワーゲン・ゴルフGTIは、電動でもハイブリッドでもない。マイルドハイブリッドですらない。 【写真】写真で見るフォルクスワーゲン・ゴルフGTIとライバル (8枚) 実際、50年近くの間、ほぼ同じことを続けているように思える。ホットハッチをシンプルだが思慮深く解釈し、世代交代やマイナーチェンジのたび狙いが明確なアップデートを徐々に行なってきた。ロジカルに考えれば、この最新モデルは、最高の出来になるはずだ。 もちろん、新型といっても、これは全面刷新型ではなく、バージョン8.5とでもいうべきアップデート版だ。2021年に登場したゴルフVIIIのGTIは、世界中で絶賛された、とは言い難い。その理由は、キャビンに用いられたハイテク装備の問題がもちろんある。また、これまでは、もっと成熟したホットハッチだったのに、柄にもなくハードコアに仕立てたサスペンションも挙げられる。 しかし、ベーシックなゴルフは、マイナーチェンジで欠点を補ってきた。GTIも同じく改善を果たしているのだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
ゴルフGTIの基本はこれまで同様、安らかな気持ちになれるくらい慣れ親しんだものだ。フォルクスワーゲンのMQBプラットフォーム採用車のうち、パフォーマンス志向のモデルの公式どおりとも言える。つまり、リアサスペンションはトーションビームではなくマルチリンクで、ボンネットの下には2.0LターボのEA888が積まれる。出力は、従来型より19psアップして265psとなり、GTIクラブスポーツの300psにより近づいた。 トランスミッションは7速DCTのみで、6速MTは選択肢から消えた。フロントアクスルロックを意味するドイツ語を略しVAQと呼ばれる、フォルクスワーゲングループがここ数年の前輪駆動ホットハッチに装備しているアイテムも採用。デフに外付けしたクラッチパックを用いて、片側のドライブシャフトをデフのギアキャリアに対してロックでき、ロッキングトルクを産んでLSDのような機能を果たす。 VAQはブレーキ式トルクベクタリングのXDSと、リチューンされGTIに標準装備化された可変レシオのプログレッシブステアリングと協調する。 バージョン8.5のゴルフGTIは、見た目の改修も数多く施された。ヘッドライトは通常のゴルフと同じく、従来よりややシャープで角張った形状になり、マトリックスLEDはよりパワフルに。テールライトも新形状で、ダイナミックウインカーが導入された。GTIにはフロントのライトバーと、ライトアップされるVWロゴも備わる。クラブスポーツは、通常のGTIとは異なるデザインのバンパーが与えられた。 ホイールはようやく複数の仕様が新設された。テスト車が履くのはクイーンズタウンことオプションの19インチで、ゴルフVのGTIが履いた17インチを思わせるデザイン。クラブスポーツ専用オプションには、軽量化を追求した鍛造19インチが設定される。