宇都宮でオープンした全国初の“ヤクルトのカフェ”とは。「人気メニューは『カレーdeヤクルト』です」
ヤクルトレディが普段会えない層にヤクルトを知ってもらえる
女性の社会進出が進むなか、ヤクルトレディの多くを占める主婦層が訪問できる時間帯は限られている。 時代が多様化し、以前と比べてライフスタイルも変化しているのに、同じことを繰り返していても、“会えない人には絶対会えない”と言えるわけである。 ヤクルトレディの販売活動は、宇都宮ヤクルト販売における売り上げ比率の6割超を占めているそうで、「ヤクルトレディが訪問する時間帯と合わないお客さまに、どうやってヤクルトを知ってもらうか」が喫緊の課題になっていた。 こうして、次の一手を考えていくうちに「商品を届けるサービス」ではなく、「お客さまに来てもらえるサービス」を提供するというところから、カフェを造るアイデアにたどり着いた。 「私は元々ホテルマンの経験もあったので、飲食系には興味がありました。そこで、どうせカフェを造るなら中途半端にやるよりも、みんなが来たくなるようなお洒落なカフェにしたいと思っていたんです。」
初のヤクルトのカフェ実現に向けて
だが、先述のように資金調達も含め新たなアイデアの実現は難しい。どのように本社と掛け合い、カフェのオープンに向けて交渉を重ねたのか。 「我々の構想を応援してくれる本社の役員とやりとりしながら進めていきましたが、一番確認に時間を要したものは、デザインや“商標”の問題でした。企業ブランド価値を損なわないよう、関係者と協議を進め慎重に進めていきました。 ヤクルトのコーポレートカラーである赤は変更できませんし、独特のくびれがある容器の形は立体商標に登録されており、ルールに則って使用しなければなりませんでした。そうした状況のなかで、本社を動かしたのはカフェと、ヤクルトの化粧品を使ったエステサロンを開設することでした」 カフェではヤクルトレディからは買えず、オンライン販売のみの取り扱いだったヤクルトアイス(アイス de ヤクルト)が食べられるという付加価値を提供できるわけだ。 後者もこれまでは、ヤクルトレディがチラシを持って販促していたが、実際に化粧品を試せる場を作ることで、商品の認知度アップや購買につながる。 こうした“ヤクルトのカフェをやる意義”を見出すことで、本社を巻き込むことに成功し、構想を具現化させていったという。