「高齢者にスマホを無償貸与」すると希望するコミュニケーション方法はどう変わる?
「高齢者にスマホを無償で貸与」すると高齢者が希望する連絡手段はどう変わる?
実証実験から、スマホを手にした高齢者の連絡手段がどう変わったのかご紹介します。 ■区からの希望する連絡する方法として「LINE」が激増
実証実験開始直後、利用者の「希望する連絡方法」はLINEが10.5%、郵送が79.5%だったにも関わらず、2年後の端末返却時にはLINEが38.6%にまで増加。郵送は64.1%と優勢でしたが、それでも多くの高齢者が「LINEを連絡手段に使うこと」の便利さを覚えたと言えます。 ■災害時に情報を得る手段として「スマホ」が激増
実証実験開始時、「災害時に情報を得る媒体」という質問に対し、「スマホ」と答えた人の割合は33.2%。しかし、実証実験終了時には58.4%にまで増加していました。この結果は高齢者も、災害時にスマートフォンを活用して情報を得ることの重要性を認識し始めたと言えます。 ■LINEや検索エンジンの起動回数は高齢者でもかなり頻繁
実証実験終了間際には、スマホを貸与された人の90%以上がLINEを使用。また、GoogleやChromeアプリの使用率も89%となっています。つまり、スマホを貸与したことで多くの高齢者のデジタルリテラシーが向上し、スマホを積極的に活用していたと言えるでしょう。
貸与期間終了後は8割の高齢者がスマホの購入意欲を示す
興味深いのは、実証実験を受けた高齢者のうち、67.5%が自身のスマホを「購入した」と回答。15.3%が「今後購入予定」と答えたこと。つまり、8割以上がスマホの購入意欲を示したという調査結果です。つまり、事業を通じて高齢者がスマートフォンの利便性を実感し、日常生活に欠かせないツールとして認識したと言えるでしょう。 この記事をお読みの方の中にも、年配の親族が「携帯電話を持っていない」ないしは「ガラケーしか利用できない」といったケースがあるのでは。するとその年配の親族の方にとっては、LINEによる連絡や検索エンジンによる情報収集などは難しい場合もあるでしょう。 とはいえその難しさは「そもそもスマホを持つことへの抵抗感」から生まれたものかもしれません。高齢者の方にスマホを無償に貸与することは、そうしたちょっとした抵抗感が契機となっているデジタルデバイドの解消に向けた大きなプロセスになり得るのかもしれません。
オトナライフ