動物行動学のプロが”野犬”の「預かりさん」に。里親に出すために必要な2つのこと
3回目の「預かり」は野犬の子犬
9月から始まったワタデキの「預かりさん」も、今回で3回目になります。 最初に来たアロイは素敵な里親さんに譲渡され、先日は高尾山に一緒に上ったそうです。初日、3日間も玄関に籠城して、散歩が怖くて、私がリードを持つだけで逃げていたアロイが、自分から散歩に行きたがるようになったと聞いて、なんだか胸がいっぱいになりました。 次のラブラドール・レトリーバーのビスコは、人懐っこいのに、ほかの犬に対してガウガウやってしまうからと、うちに来ました。 先住犬 オレオにも、最初はガウガウしていましたが、オレオが反応せず、またビスコになんでも譲ってあげているうちに、2頭はすっかり仲良しになりました。 とはいえ、散歩中に突然ガウガウが始まったり、肥満という健康問題もあるので、まだ気は抜けません。 ここに、山口県の周南市から「ポテト」と「パンプキン」がやってきました。 驚くことに、ガウガウすると思った「ビスコ」が、子犬のポテトとパンプキンにはとても好意的です。2匹もビスコを慕い、そばに行きたがります。 対照的に、私のことは警戒して近づいてきません。 ポテトはおやつでなんとか触らせてくれますが、パンプキンは一切触らせません。寝ているところに近付いても、途中で気づいて逃げる。 子犬なら野犬もブリーダー出身も変わらないという意見もありますが、今回預かった2匹は全く人馴れしていません。 母親が飼育経験のない「野犬」だったせいか、2カ月齢という幼い子犬のうちから、人をまったく信用していないのです。 人を信用できないと、人から褒められたり、なでられたりされても嬉しくない。 子犬のトレーニングは、好奇心や遊びたい気持ちをうまく利用して言葉やコマンドを教え、できたらたくさん褒めます。犬は褒められると嬉しいので、それを繰り返して教えます。 けれども、2匹は人から褒められても喜びません。 たとえばトイレトレーニング中にパンプキンがケージの中でおしっこができて、私が「えらいね~」と撫でようとすると、パンプキンは逃げるのです。 2匹が紐で遊んでいるところに、「引っ張ってあげようか?」と近づいた時も、ぱっと逃げる。私のことが怖いのです。これではトレーニングになりません。