『光る君へ』への期待を表した2年前の記事を再掲。答え合わせはどうなった?【光る君へ 満喫リポート】答え合わせ編
藤原道長を演じるのは誰だ?
I:『光る君へ』のキャスティングでもっとも注目されているのが、藤原道長を誰が演じるのか? ということだと思います。 A:紫式部と道長の関係は、文学活動のパトロンだとか、愛人だとかさまざまいわれていますが、おそらく現代の感覚では把握できない、すべてを超越したパートナーだったのではないかという気がしています。前出の『ビジュアル版 逆説の日本史』から引用しますが〈高級貴族たちは、娘が生まれるとことのほか喜び、その娘を「后がね」つまり入内候補者として大切に育てた。下級貴族の娘たちの中から教養ある者を選んで侍女としてつけ、『古今和歌集』など和歌の教養、琴などの楽器、美しい文字を書くことなどとともに、立ち居振る舞いや衣装のセンスも身につけさせた〉時代です。そういう時代に道長の娘彰子付きになったのが紫式部でした。 I:彼女の執筆活動を支えたのも道長だといわれていますね。『紫式部日記』には、道長が『源氏物語』の読者でもあったことが記されていますし、道長との歌のやり取りも当時の王朝貴族の教養の高さが知られて面白い。 A:道長は、長徳の変などでライバルを蹴落としてもいます。陰謀ということでいえば、『鎌倉殿の13人』同様の展開にもなり得ます。そうした流れに紫式部が絡むのかどうか。いったいどんな物語になるのか、想像がつかないのが逆に楽しみでしょうがないです。 I:王朝貴族といっても、華やかなだけじゃないんですね。 A:道長といえば、『御堂関白記』の自筆本が伝来しています。以前、陽明文庫を訪れた際に拝見しましたが、道長は真面目で几帳面な性格だったんだろうなという筆致だったのを覚えています。いったい誰が演じることになるのでしょうか?
平安時代の「入内競争」は江戸城大奥より過激だった?
I:『鎌倉殿の13人』でも源頼朝が娘の大姫を後鳥羽天皇の后にしようとする「入内問題」がクローズアップされましたが、紫式部の時代は入内合戦がもっともヒートアップしていた時代ではないでしょうか。後年、江戸城の大奥でも将軍をめぐる争いが映画やドラマになっていますが、「平安の大奥」はもっとすごいんですよね? A:娘を天皇の后とする。そして生まれた皇子が天皇に即位して外祖父として実権を握るというスキームですね。健康で天皇の心をとらえる娘の存在が、一家の興亡に直結するという、よくよく考えるとハチャメチャな時代だったんですね。道長は運がよかっただけで、同じ藤原北家内でも皇子が生まれなかったことで無念の涙をのんだケースもあります。そうした悲喜こもごもをどう描くのか楽しみです。映画の『大奥』のようなギラギラになったりするんですかね? 考証を度外視して清少納言ともどんどんやり合ってほしいですね。