ホンダの電動化10兆円投資に世界が注目する理由 中国も「未来を見据えている」と絶賛、EV開発にとどまらない「事業構造改革」の本気度とは
目指す持続可能社会
こうしたホンダの電動化戦略は、車の未来を見据えた「持続可能性」の追求でもある。 同社は2021年4月、2050年までにグローバルでのCO2排出を実質ゼロにする目標を打ち立てた。この野心的な目標の背景には、1960年代からの大気汚染防止の取り組みや、世界初のマスキー法クリア車の開発など、長年にわたる環境技術への取り組みの歴史がある。 「地球環境を守る」 というホンダの思いは、同社の企業文化に深く根付いている。 ホンダは、EVシフトと並行して、再生可能エネルギーの活用も推進。2019年には欧州の各生産拠点で使用電力の100%再エネ化を達成し、2050年には世界全工場での再エネ比率100%を目指す。 また、次世代電池技術の開発にも注力する。より高性能で低コストな全固体電池の早期実用化を目指し、2024年春には実証ラインの稼働を開始。2030年代後半の量産化をめどとしている。全固体電池の実現は、EVの普及を大きく後押しするとともに、ホンダの電動化戦略のカギを握る技術となるだろう。 さらに、挑戦は四輪車だけにとどまらない。電動二輪車や船外機、発電機など、あらゆる事業領域で移動と暮らしの価値創造に取り組む。 ・排出ゼロ ・資源循環 ・グリーン電力 が当たり前の社会の実現に向け、ホンダは持続可能なモビリティ社会を予見した戦略を進めている。 こうしたホンダの取り組みは、海外メディアからも注目を集めている。米国の自動車業界のB2B関連情報を扱う「フューチャー・モビリティ・メディア」は、2024年1月10日付けの記事で次のように報じている。 「この動きは、より持続可能なバッテリー駆動の輸送ソリューションへの移行に対するホンダのコミットメントを象徴するものである(This move symbolizes Honda’s commitment to transitioning towards more sustainable, battery-powered transportation solutions.)」 さらに記事は、ホンダがEVシフトで欧米ライバルに後れをとっていたことを指摘しつつ、 「しかし、ラスベガスで開催されたCES見本市で「ホンダ0シリーズ」とふたつのコンセプトモデルを発表したことで、ホンダはEV市場でのペースを加速させる構えだ。このシリーズは、2040年までにホンダの新車販売のすべてをバッテリー車とFCVにするというホンダのミッションにおける大胆な表明である(However, with the unveiling of the ‘Honda 0 Series’ and two concept models at the CES trade show in Las Vegas, Honda is poised to accelerate its pace in the EV market. This series is a bold statement in Honda’s mission to have battery-powered and fuel-cell vehicles comprise all of its new car sales by 2040)」 とも評している。