ホンダの電動化10兆円投資に世界が注目する理由 中国も「未来を見据えている」と絶賛、EV開発にとどまらない「事業構造改革」の本気度とは
投資計画が注目されるワケ
このようにホンダのEV戦略は、投資規模の大きさだけでなく、その具体的な取り組みにおいても注目を集めている。特に、長年にわたり同社の北米事業の中核を担ってきた工場群をEV生産拠点に転換する点は、ホンダの電動化へのコミットメントを象徴している。 海外メディアの評価が示すように、ホンダのオハイオEVハブ構想は、同社が北米市場でのEV展開を加速し、業界をリードしていく上で重要な役割を果たすことになりそうだ。 電動化とソフトウエア開発への投資額10兆円という金額は、自動車業界でも類を見ない巨額の投資だ。欧米メディアや中国メディアでは、いずれもこの金額の大きさが大きく報じられている。 ホンダの投資計画が注目されるのは、その“規模”だけが理由ではない。投資の中身が、単なるEV車の開発にとどまらず、 「事業構造そのものの変革を目指す」 ものだからだ。エンジン関連の投資を大幅に絞り込み、電動化に経営資源を集中させる方針は、同社の“本気度”を端的に示している。 そうしたなか、ホンダのEV戦略を象徴する新世代EV「0シリーズ」は、2026年の投入開始を予定している。この同シリーズは、軽量化と空力性能、優れた操縦安定性を武器に、“走る喜び”を極限まで追求した渾身(こんしん)の1台となる。 0シリーズでは、アルミ製シャシーや小型・軽量化したパワートレインの採用で車重を大幅に低減。バッテリーも車体の床下に配置し、低重心化を図ることで、ドライバーの意のままに曲がる「マシンとの一体感」を生み出すのが特徴だ。一充電あたりの航続距離は480km以上(EPA)、急速充電にも対応し、利便性も高い。外観は空気抵抗を抑えたスマートなスタイリングが目を引く。 0シリーズは、2026年発売のセダンを皮切りに、2030年までに計7車種を投入する計画だ。セダンやスポーツタイプ多目的車(SUV)など、多彩なラインアップを展開することで、幅広い層のニーズに応える。ホンダのEVの象徴となる0シリーズが、日本のEVのスタンダードとなるかが注目される。