「鉄の女」と嫌われていても愛する人を守るため、運命に立ち向かう。強く美しいヒロインが活躍! 大逆転“痛快”異世界ファンタジー7選【書評】
捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
『捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました』のヒロインは、魔道具開発の天才少女と呼ばれて育ってきたロザリア・スレイド。その才覚を買われて第一王太子ウィルバート・ヴィ・アステルと結婚したのだが、彼はボニータ・ファンク男爵令嬢にご執心だった。そして彼女の懐妊を機に、ロザリアは離縁を切り出されてしまう。
ロザリアは一度もウィルバートに愛されなかったが、民や国のために尽力してきた。しかし待っていたのは、喝采でも幸福な未来でもなく、非情すぎる仕打ちだったのだ。それでもロザリアは、なんとか気持ちを切り替えて魔道具を開発しながら平民として生きることを決意。やがて自身を傍で支えてくれた執事のアレスと共に彼の故郷へと向かうが、そこは“竜人の国”で――。 絶望に打ちひしがれてもおかしくない状況から、強靭なメンタリティで立ち直ってみせるロザリア。とても真似できるものではないかもしれないが、腐らずに頑張っていれば報われることもある…きっとそんな気持ちにさせられるはず。
結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!~私には好きと言ってくれない王太子様になぜか溺愛されているのですが!?~
2023年、若者を中心に流行した「蛙化現象」という言葉。もともとの意味とは異なり、Z世代の間では「好きな人の些細な行動で気持ちが冷めてしまう」ことを指している。ある意味で、そんな状態に陥ってしまったヒロインを描いたのが『結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!~私には好きと言ってくれない王太子様になぜか溺愛されているのですが!?~』 だ。
同作の主人公・キャロルは許嫁の王太子・レオンと入籍間近のタイミングで、突如として周囲の人々の頭上に「誰かへの好意を伝えた回数」の数字が見えるようになった。そうなると気になるのは、もちろんレオンの数字。さっそく頭上を見上げてみると、あろうことか無限大のマークが浮かんでいたのだ。 思い返すとキャロルは、一度もレオンから愛情表現の言葉を伝えられたことがない。つまり自分以外に好きな人がいるということだろうか。そしてキャロルは堂々と婚約破棄を宣言。しかしなぜか、レオンには受け入れる気がない。そんなふたりのドタバタな恋愛劇をコメディ調で描いていく同作。無限大マークは誤解なのか、それとも…。 強く美しいヒロインが活躍する異世界ファンタジー作品。年末年始に一気読みしてみてはいかがだろうか。 文=ハララ書房