レジェンド・フードファイターの小林 尊が語る引退の舞台裏とこれからのこと「ぼくが求めているのは、お金だけじゃない。フードファイトをスポーツとして扱うこと」
■アスリートとして戦ってきた 小林がフードファイターとして注目されたのは2000年のことだった。小林を中心として『TVチャンピオン』(テレビ東京系)、『フードバトルクラブ』(TBS系)といったテレビ番組が人気となった。 2001年7月4日、ニューヨークで行われたホットドッグ早食い大会に初出場、大会新記録で優勝。以降6連覇を果たし、アメリカで最も著名な日本人となった。 小林はフードファイトの競技化、競技者の社会的立場を確立するために戦ってきた男でもある。日本では月数万円の契約社員として抱え込もうとしたテレビ制作会社と訣別した。 アメリカでもホットドッグ早食い大会を主催するホットドッグ・チェーンのネイサンズが小林と独占契約を結ぼうとしたが、こちらも小林の知名度からすると不当に安い金額だった。小林は拒絶した。 Netflixと同時期、YouTubeやネイサンズからも大会出場の打診があった。 「YouTubeの提案はぼくの意図と違っていた。ネイサンズは今回、かなりの高額のお金を提示してきました。でもぼくが求めているのはお金だけじゃない。この競技をスポーツとして扱うこと。ぼくはフードファイトをエクストリームスポーツとしてとらえています。 自分の身体を使って危険なことに挑戦するという意味です。だから日頃の体調管理が重要になる。アメリカの大会に出てくる選手の中には、今すぐ病院に行ったほうがいいんじゃないかっていう人もいます。ぼくが復帰して勝ったとしても何も変わらないならば、出る意味がない」 消去法でNetflixが残る形になった。 2023年11月14日、小林はラスベガスで行われたゴルフの『Netflix CUP』に招待された。プロゴルファーのリッキー・ファウラーやF1ドライバーのカルロス・サインツなどが参加、ラウンド中には著名なDJによるブースなどが設置されていた。 かなりの資金が投じられており、Netflixの本気度を小林は感じた。そして、2024年2月、Netflixと出演契約を結び、本格的なトレーニングに入った。