ジェネリック医薬品と先発医薬品、どちらがいいの?【40代、50代・薬と上手に付き合う方法⑪】
テレビCMなどですっかり認知度が上がったジェネリック医薬品(後発医薬品)だが、先発医薬品(新薬)とどう違うのか? 新薬はどうやってできるのか? 意外と知らない薬の疑問について、薬剤師の鈴木素邦(そほう)さんに伺った。
Q1:ジェネリック医薬品のほうが安いので効き目も低い!?
A:先発医薬品と同じ有効成分と分量が使われ、効き目も同等にあります。 少し前に頻繁に流れていたテレビCMなどで、すっかり認知度が上がったジェネリック医薬品だが、価格が安い分、効き目も低いのだろうか? 「新しく開発された薬の特許期間が切れると、その権利は国民の共有財産となります。この新薬を先発医薬品と呼び、ジェネリック医薬品はこの特許が切れたあとに製造・販売されるものです。新薬を開発した会社だけでなく、ほかの会社からも発売が可能です。 ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分が同じ量だけ配合され、同じ効き目があると認められているものをいうので、価格が安いからといって、効き目が低いということはありません。安心してください」(鈴木さん)
Q2:ジェネリック医薬品と先発医薬品はどうしてこんなに価格が違うの?
A:新薬の研究開発に長い時間と費用がかかっているからです。 ジェネリック医薬品が安いのは粗悪な原料を使っているから? 価格の違いはなんなのだろうか? 「ひとつの薬を開発するためには約9~17年かかるといわれています。 例えば、薬の候補となる素材の基礎研究に2~3年、動物や試験用の細胞などを使って有効性と安全性を確認する非臨床試験に3~5年、人に対して有効性と安全性を確認する臨床試験に3~7年、厚生労働省に承認申請を行い、認可が下りるのに1~2年かかります。 承認されれば新薬となり、特許期間の20~25年間はその薬を独占的に製造・販売することができます。しかし、ここにたどり着くのは、2万6000個の候補からひとつくらいで、それまでにかかる費用は数百億円ともいわれています。 一方でジェネリック医薬品はすでに有効性や安全性が確立されているので、これらの開発期間や費用をかけずに製造・販売できます。こうしたことから、ジェネリック医薬品は先発医薬品の約50%以下の価格になっています。 中にはジェネリック医薬品に使われている原料はインドや中国から輸入している粗悪なものだから安いという人がいます。しかし、先発医薬品も含め、医薬品の原料のほとんどがインドや中国からの輸入に頼っているのが現状です。ジェネリック医薬品に限ったことではありません。 先発医薬品と同じ効果が確認されないと発売できないので、原料に関して安心してよいと思います」