あがり症の人は「立ち方」を変えてみる…ハーバード大の研究で判明した緊張がスッと消える"魔法のポーズ"
■姿勢は心理に大きな影響を与える ハーバード・ビジネス・スクールで教鞭を取る社会心理学者エイミー・カディ教授は、姿勢とボディランゲージ(非言語行動)の重要性を強調しています。 姿勢とボディランゲージは、人に与える印象だけでなく、自分自身の心理状態にも大きな影響を与えるからです。 彼女のある実験では、被験者のグループをランダムに2つに分けて、1つ目のグループには、ハイパワーポーズと呼ばれる自信のある人がよく取るようなポーズを2分間取ってもらいました。 ハイパワーポーズは、立ちながら両手を腰に当てて、仁王立ちをするようなポーズだったり、椅子に浅く腰かけて、踏ん反り返りながら両手を大きく広げるポーズだったりします。 いずれも身体がしっかり開いていて、視線が自然と上を向くような姿勢です。 ■姿勢の違いが脳内のホルモンに影響 一方、もう1つのグループにはローパワーポーズと呼ばれる自信なさげな人たちがよく取るポーズを2分間取ってもらいました。 ローパワーポーズは、何かから自分を守ろうとする時に取るようなオドオドした姿勢、身体を閉じ、腕で胸のあたりを覆うような姿勢で、視線はうつむき気味です。 実験では、このわずか2分間の姿勢の違いが、脳内の2種類のホルモンに大きな影響を与えることがわかりました。 1つは、支配性のホルモンであるテストステロン、もう1つはストレス度を表すホルモンであるコルチゾールです。 ちなみに、優れたリーダーシップを発揮するリーダーは、高いテストステロン値と低いコルチゾール値を持つと言われます。支配性が高く、ストレスが少ないという状態です。
■「ハイパワーポーズ」でテストステロン値が平均20%上昇 まず、支配性のホルモンであるテストステロン値は、ハイパワーポーズを2分間取ったグループでは、なんと平均20%上昇し、ローパワーポーズを取ったグループでは逆に10%減少しました。 ハイパワーポーズを取った人たちは支配的感覚が上がり、ローパワーポーズを取った人たちは感覚が下がったのです。 ■ストレスホルモンのコルチゾール値は平均25%減少 そして、ストレス度を表すホルモンであるコルチゾール値は、ハイパワーポーズを2分間取ったグループでは、平均25%減少し、ローパワーポーズを取ったグループでは逆に15%上昇しました。 たった2分間、異なるポーズを取っただけで、これほどの違いが出るのです。 大きなストレスを抱えた人が、落ち着かない様子で、身体をかがめ、閉じたような姿勢を取りがちなことはイメージできると思いますが、実はこの姿勢自体がストレス値をさらに上昇させる原因ともなっているのです。 「よい姿勢をしなさい」という教育を受けてきた方はたくさんいると思います。とくに武道や茶道や華道など、日本独特の“道”の付く稽古事をされてきた方は、背筋の伸びた姿勢を徹底的に教え込まれ、習慣になっている方も多いことでしょう。 これは、このハイパワーポーズと同じような効果をもたらすと考えられます。 このような方は、軸を持った強い身体の感覚とともに、脳のホルモンの分泌を促進しているので、凛とした心の状態やストレスに対抗力のある状態をつくり出しやすいと言えます。