<飛躍の春に>20センバツ・倉敷商 OBからのエール/3 チーム一つになって 藤井勝利さん、道下功太さん /岡山
◇藤井勝利さん(25)、道下功太さん(25) 「チームが一つになれること」。倉敷商が前回出場した2012年のセンバツで主力選手だった藤井勝利さん(25)=写真右=と道下功太さん(25)=同左=は、野球部の魅力をそう語る。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 2人は幼稚園からの幼なじみで、中学時代は藤井さんが投手、道下さんが捕手でバッテリーを組み、倉敷商への進学も一緒に決めた。卒業後は別々の大学に進学したが、社会人になって同じ岡山ガスに就職し、現在は会社の軟式野球部で野球を続けている。 センバツ出場時は3年生で、内野手となって主将を務めた藤井さんと、背番号2を背負う守備の要として活躍していた道下さん。1回戦の作新学院(栃木)戦は初回に先制したものの、途中でひょうが降るほどの悪天候で、思うようにプレーができず、3-7で逆転負けを喫した。悔しさでいっぱいだったが、2人で「もう一度甲子園に行こう」と誓い合った。 約束通り、同年夏の岡山大会を制し、甲子園では創部以来最高成績に並ぶベスト8に進出。藤井さんは「センバツの悔しさではい上がれた」、道下さんも「チームみんなが勝つ方向を向いていて、負ける気がしなかった」と振り返る。 高校3年間は厳しい練習の毎日で、決して楽しいだけの思い出ではなかったという。それでも「倉敷商に入って良かった」と口をそろえる2人。中でもチームの一体感は特別だ。道下さんは「メンバーに選ばれず、本当はもっと選手としてやりたいはずだったチームメートも、その気持ちに蓋(ふた)をして、全力でサポートしてくれた」。藤井さんも「野球部以外にも学校全体が応援してくれて力になった」と感謝する。 現在の職場は、野球部グラウンドのすぐ近く。後輩たちが練習する姿を見ながら通勤し、仕事中にも金属バットでボールを打つ音が聞こえるといい、「練習内容もチームの雰囲気も自分たちの頃とあんまり変わっていない」と懐かしそうにほほえむ。 2人が経験したあの年以来の甲子園に挑む後輩たちに、藤井さんは「たくさん練習してきているから、自信を持って甲子園に臨んでほしい」。道下さんも「自分はセンバツを楽しめなくて後悔した。今の選手にはとにかく笑顔で楽しんでいる姿を見せてほしい」と、チームの歴史に新たな1ページを刻んでくれることを期待している。【松室花実】