日本で活躍の豪州代表…運命が「本当に変わった」 伝説的FWとの秘話「想像していましたか?」【インタビュー】
今も生かされる同胞の恩師が授けた教え
また、プロ入り以降に「非常に大きな影響を受けた」指導者として挙げたのが、J1横浜F・マリノスで3季にわたって指揮を執り、現在は上海海港(中国)を率いるケビン・マスカット監督。デンをプロデビューに導いた恩師だ。横浜FM在籍当時に言及すると、「彼がJリーグで成功した事実は自分のことのように嬉しい」と顔をほころばせる。 オーストラリアと日本、ポジションはともにセンターバックとサイドバックなど、両者には共通点が多い。ゆえに、「ストライカーにどう対峙すべきか細かく指導してもらえました」と話す。さらに、「(マスカット監督からの)アドバイスで現在も試合中に応用しているものは多くある」とも語り、恩師の教えに支えられている今を明かしてくれた。 日本に活躍の場を移し、新潟でのプレーは今年で3年目。時間の経過とともに周囲に対する理解の深化も進み、「(選手として)全体的に向上できている実感を持てています」と成長の手応えを口にする。そんななか、チームの松橋力蔵監督には「自分のことを本当に信じてくれている」と信頼への感謝を示す。 佳境を迎えた今季J1リーグで、新潟を取り巻く状況は残り3試合で降格圏から勝ち点5差と残留へ予断を許さない。「毎年、選手としてより強く、よりうまく、より速くなるという考えの下でプレーしています」。これまでの教えとともに日々進化をめざす屈強なDFが、ここぞの場面でゴールに鍵をかけ、チームの救世主となるはずだ。 [プロフィール] トーマス・デン/1997年3月20日生まれ、ケニア出身。6歳で家族とともに移住した豪州でサッカーを本格的に始め、2015年に18歳でAリーグのメルボルン・ビクトリーとプロ契約を結ぶ。ヨングPSV(オランダ)での期限付きを経て、母国では4季プレー。20年に浦和レッズへ移籍し、活躍の場を日本に移す。22年からアルビレックス新潟の一員となった。豪州代表としても活躍し、2021年の東京五輪で3試合プレーしたほか、22年カタール・ワールドカップのメンバーにも選出されている。
FOOTBALL ZONE編集部・山内亮治 / Ryoji Yamauchi