初の朝夕2部制! プロ注選手も要チェック‼ 2024年夏の高校野球がさらに面白くなる10の注目ポイント
■ポイント⑦ 地方退会でドラマを生んだチームに注目 今夏の山梨大会準々決勝・日本航空対帝京三で「事件」は起きた。同点の9回裏、2死満塁の場面で日本航空の打者がセンター前に抜ける打球を放つ。誰がどう見てもサヨナラのシーンで、敗戦を悟った帝京三の一部の選手たちはグラウンドで泣き崩れた。 ところが、審判から「アウト」の判定が下される。日本航空の一塁走者・雨宮英斗(あめみや・えいと)が喜びのあまり、二塁ベースを踏む前に歓喜の輪に加わっていた。それを帝京三の守備陣が見逃さず、二塁でフォースアウト。サヨナラが取り消される事態になった。 日本航空にとって気持ちの切り替えが難しい展開だったが、さらにドラマが待っていた。延長11回裏、先ほどの汚名返上とばかりに雨宮が同点タイムリーヒットを放つ。最後は押し出し四球で日本航空がサヨナラ勝ちを収めた。 勢いに乗った日本航空は山梨大会で優勝し、甲子園へ。「勝負は最後までわからない」と生きた教訓を得た日本航空が聖地でどんな戦いを見せるか。 ■ポイント⑧ 監督解任の逆境をはねのけたチームに注目 三重県の高校野球界で衝撃が走った。6月中旬に公立の強豪校である菰野(こもの)のベテラン監督が体罰・不適切な発言をした疑いがあるとして解任されたのだ。 30年以上にわたって菰野ひと筋で、西勇輝(現・阪神)、岡林勇希(現・中日)らを育て上げた指揮官の離脱。精神的動揺が広がっても不思議ではない中、菰野の選手たちは力強く戦い抜く。安定感のある2年生左腕・栄田人逢(えいだ・とあ)の好投もあって16年ぶり3回目の甲子園行きを決めた。 代わりに監督に就いた森田亮太監督は昨秋に放送されたドラマ『下剋上球児』(TBS)のモデルとされる白山高校での指導歴もある。教育困難校だった白山で根気強く指導にあたった経験が選手に寄り添う指導につながったのかもしれない。森田監督の指導者としての「下剋上」にも注目したい。 ■ポイント⑨ 猛暑下、陰で支える審判の努力に注目 近年は高校野球の判定を巡るトラブルがネット界をにぎわせている。今夏も千葉大会決勝の木更津総合対市立船橋で守備妨害を巡る判定、島根大会準決勝の大社(たいしゃ)対開星では三塁走者へのタッチを巡る判定が物議を醸した。 だが、審判も人の子。当然、ミスはある。そんな中、高校野球界は深刻な「審判不足」に悩まされている。ある審判経験者は「精神的にずぶとくなければ、高校野球の審判なんて続けられない」と明かす。 本業の仕事をやりくりして試合日程を合わせ、誤審の恐怖におびえ、ほぼボランティアで審判を務めているのだ。審判を守るためにも、高校野球界でもビデオ判定の導入が検討される時期が来ているのかもしれない。