「神様の作ったゲーム」を楽しもう!銀河のグループ分けや小惑星探し。ネットを通じて盛り上がる市民天文学
珍しい天体の発見も重要な目的の一つだ。太陽系外縁天体のような遠い天体や彗星はもちろん、海王星よりさらに遠くに存在するかもしれないと言われている太陽系の「第9惑星」が見つかれば歴史的大発見となる。 すばる望遠鏡が「超広視野主焦点カメラ」(HSC:ハイパー・シュプリーム・カム)で広い範囲を高解像度で撮影した画像には、これまで見落とされていた小さい天体や遠い天体も捉えられている。しかし、膨大な画像から小惑星や彗星を探すのには非常に手間と時間がかかる。そこで大勢の市民の出番だ。 ▽小惑星の名付け親になれるかも COIASの小天体を探すページにアクセスすると、無数の星が写り、星同士を線で結んだ星座を示した宇宙の画像が広がっている。その中で、「AREA1」などと表示され、四角い枠で細かく区切られている範囲が、すばる望遠鏡で撮影した画像がある領域だ。目当ての小天体はそこにあるかもしれない。
四角の枠は、解析が進んでいる割合に応じて色分けされている。「未解析」は赤、解析率が「中」はオレンジ、「大」は黄といった感じだ。好きな場所を選ぶと、解析したい画像を選ぶ画面に移る。画像を選んで「解析スタート」を押すと解析が始まり、小天体の可能性がある物体に印が付く。ただ、天体ではないただのノイズの可能性もある。その見極めは、参加者の目が頼りだ。 すばる望遠鏡では同じ領域を異なる時間帯で繰り返し撮影しており、パラパラ漫画のようにこま送りすれば、写っている天体の動きが分かる。特定の方向にまっすぐ動いていれば、小惑星や彗星の可能性が高い。そうした天体を選んで、報告すると一連の作業は終わり。「新天体候補」の情報は、世界中から小惑星や彗星の発見報告を受け付けている国際天文学連合小惑星センター(MPC)に送られる。 新天体候補は、追加観測でおおよその軌道が分かると暫定的な名前の付いた「仮符号天体」となる。さらに十分な追加の観測によって軌道が確定すると通し番号が付いた「確定番号天体」となる。確定番号天体になった時点で正式な発見となり、見つけた人はその天体の名前をMPCに提案する権利が与えられる。つまり天体の「名付け親」になれる。