「神様の作ったゲーム」を楽しもう!銀河のグループ分けや小惑星探し。ネットを通じて盛り上がる市民天文学
一人で8千個以上の銀河を分類しているつわものも大勢いるが、素人目にはどう分類して良いか分かりにくい銀河もある。そんな人に田中さんはこうアドバイスする。「私たちも悩みながら分類している。どっちか分からないときは、えいやっという感じで選んでください」 ▽小惑星を探せ! 国内ではすばる望遠鏡のデータを使った別のプロジェクトも進行している。ターゲットは「太陽系小天体」。つまり、小惑星や彗星だ。地球に近づく小惑星を監視するNPO法人「日本スペースガード協会」や会津大(福島県会津若松市)は、すばる望遠鏡が撮影した画像から太陽系小天体を探せるウェブアプリケーション「COIAS(コイアス)」を開発し、2023年7月に公開した。プロジェクトのホームページから登録すれば、誰でも無料で参加できる。 太陽系小天体は、主に三つのグループに分けられる。一つが地球に近づく軌道を持っている「地球接近天体」で、これまで約3万4千天体が見つかっている。二つ目が「メインベルト小惑星」。火星と木星の間には「メインベルト」と呼ばれる小惑星帯があり、これまでに約130万天体が見つかっている。そして「太陽系外縁天体」。これは海王星より遠い軌道で太陽の周りを回っている天体で、約4100天体が確認されている。
既にかなりの数が見つかっていると思うかもしれないが、実は未発見の天体がまだまだある。特に直径が数百メートル程度の比較的小さい小惑星はあまり見つかっておらず、太陽系にどのくらいあるのかも分かっていないという。 ▽目的は地球防衛!? では、なぜ太陽系小天体を探す必要があるのか。COIASの目的はいくつかある。 まずは「太陽系の地図作り」。比較的小さな小惑星も含めて、太陽系にどのくらい天体があり、どのような軌道で動いているかを研究者らは明らかにしたいと考えている。太陽系内で物質が移動する仕組みの解明に役立つためだ。探査機はやぶさ2が到達した小惑星「りゅうぐう」のように、将来の探査の対象となる天体を検討する情報も得られる。 二つ目に挙げられるのが「プラネタリーディフェンス」。小惑星が地球に衝突する一大事から人類を守る活動だ。映画みたいな話だが、2022年に米航空宇宙局(NASA)と米ジョンズ・ホプキンズ大が小惑星の軌道をずらす技術を確立するために探査機を実際に小惑星にぶつける実験に成功するなど、かなり真剣に研究されている。地球を守るためには、まず接近してくる天体を見つける必要がある。