「神様の作ったゲーム」を楽しもう!銀河のグループ分けや小惑星探し。ネットを通じて盛り上がる市民天文学
参加者はプロジェクトのホームページに登録し、すばる望遠鏡が撮影した銀河の画像を見て「楕円」か「渦巻き」か、「衝突しているか」「していないか」を見分けるポイントを学習する。銀河同士が衝突していると「リング」や「おうぎ」といった特徴的な痕跡が見られ、その見分け方まで学んだら「乗船許可証」が手に入る。プロジェクトに本格的に参加できる切符だ。 ▽1万人が参加 2019年11月から22年4月にかけて実施したプロジェクトの「シーズン1」には、約1万人が参加した。チームが昨年発表した論文によると、約2万700個の銀河について、延べ200万回以上分類したデータが集まった。 すばる望遠鏡によって解像度の高い画像が得られたことで、過去の研究では楕円形だと考えられていた銀河が実は渦巻き形だったというケースが多く見つかった。合体中の銀河は約2500個見つかり、光の波長から、新たな星を生み出す活動や、銀河の中心にあるブラックホールの活動が活発になっていると分かった。
プロジェクトの「船長」を務めている国立天文台ハワイ観測所の田中賢幸准教授は「天文学者だけではとても分類しきれない数の銀河を市民にお願いして分類できた。質の高い宇宙の画像を楽しんでもらえる機会にもなった」と話す。 一方で、専門家ではない一般市民が銀河を正確に分類できるのか?という疑問がわくかもしれない。田中さんによると、論文をまとめる際にいくつかの方法で分類の質を担保している。一つは、「明らかに楕円か渦巻きか分かる銀河を間違って分類している人を除く」という方法。大部分の人とは異なる明らかに間違った分類を頻繁にしている人のデータは解析には含めていないという。もう一つは、銀河の色。楕円銀河はオレンジっぽい色をしていて、渦巻き銀河は青っぽい色をしているという。銀河の色と、参加者の分類と照らし合わせると、かなり高い精度で分類できていると分かった。 ▽シーズン2が進行中。参加者募集! シーズン1で分類の対象としていたのは比較的明るく見分けやすい銀河だった。現在、比較的暗い銀河の分類に挑戦する「シーズン2」が始まっており、参加者を募集中だ。