RIZINで活躍する元キックボクサーのなかで、高阪剛が絶賛する選手は? UFC挑戦の朝倉海へのエールも送った
――タックルに対するディフェンスはいかがでしたか? 「完璧でしたね。たとえば、両足タックルに対しては手を下げないといけないのですが、打撃系の選手は手を下げることを嫌う傾向があります。ガードを下げることになりますからね。でも、久保選手は普通にできていた。MMAに必要なピースがハマってきた感じですね」 【UFC挑戦の朝倉海には「見せつけてほしい」】 ―― 一方で、朝倉海選手のUFC挑戦については、階級がフライ級かバンタム級なのかも気になるところです。 「う~ん......UFCのバンタム級は選手層の厚さが尋常じゃないですからね。海選手に限らず、日本人選手がバンタム級でトップに食い込むのは、フライ級よりも厳しいと思います。ショーン・オマリーを筆頭に、身長やリーチ、身体能力の"化け物"が揃っています。ただ、バンタム級かフライ級かは、海選手の減量の問題もあるので外野が口を出すことではないですが」 ――海選手にはどんなことを期待しますか? 「今の総合格闘技では、打撃、テイクダウン、寝技の3つをどれだけミックスしながら全体的にレベルアップしていけるかが重要で、10年前には考えられなかったレベルにまで到達していると思います。いずれにせよ、海選手のポテンシャルと格闘技センスを、UFCのオクタゴン(金網で囲まれた八角形の試合場)でも存分に発揮してほしいし、見せつけてほしいです。 自分は海選手の試合がすごく好きで、総合格闘技の"お手本"というか、『こうなりたい』というファイトスタイルを体現している。もちろん過去には悔しい敗戦もありましたが、それを経験したからこそ、今の彼のスタイルがあるのでしょう。海選手は、相手が特定の攻撃しかできないような状況を作り出すのがうまい。相手がジリ貧になった状況を作ってからカウンターを合わせるのが上手ですね」 ――確かに、元谷友貴選手をコーナーに詰めて、膝蹴りでKOしたこともありましたね(『RIZIN.42』)。 「UFCでも打撃を駆使して勝利していけば、海選手の評価も上がるだろうし、日本人選手全体の評価も上がることにつながると思います」 ――UFC参戦については、兄の未来さんが「超厚待遇のようだ」とおっしゃっていました。どんな選手と初戦を迎えるのか楽しみです。 「猛者がたくさんいるUFCに挑戦して、自分の持ってる技術をしっかり見せて勝ってほしい。最高峰の舞台で、その力を存分に発揮してくれることを期待しています」 【プロフィール】■髙阪剛(こうさか・つよし) 学生時代は柔道で実績を残し、リングスに入団。リングスでの活躍を機にアメリカに活動の拠点を移し、UFCに参戦を果たす。リングス活動休止後はDEEP、パンクラス、PRIDE、RIZINで世界の強豪たちと鎬を削ってきた。格闘技界随一の理論派として知られ、現役時代から解説・テレビ出演などさまざまなメディアでも活躍。丁寧な指導と技術・知識量に定評があり、多くのファイターたちを指導してきた。またその活動の幅は格闘技の枠を超え、2006年から東京糸井重里事務所にて体操・ストレッチの指導を行なっている。2012年から2015年にはラグビー日本代表のスポットコーチに就任。
篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro