RIZINで活躍する元キックボクサーのなかで、高阪剛が絶賛する選手は? UFC挑戦の朝倉海へのエールも送った
――来年の10周年を前に、節目の大会となった「超RIZIN.3」ですが、大会全体を通してどんな印象を持ちましたか? 「日本人同士の試合のクオリティがすごく上がったと思います。試合に至るまでの過程も含めて、見る側はすごく楽しめたんじゃないかなと。メインの平本蓮選手vs朝倉未来選手もそうですが、所英男選手とヒロヤ選手の試合、久保優太選手と斎藤裕選手の試合もすばらしかった。 特に、久保選手は"総合格闘技のポイント"を掴んだ感じがしました。斎藤選手は、打撃と思わせてタックルに入るとか、総合の試合作りを熟知している選手です。その斎藤選手に勝った久保選手は本当にすばらしい。日本人同士の試合で、あれだけのクオリティが高い試合ができたのは、RIZINの努力の賜物だと思います。そういうマッチメイクをしっかりやってきて、それに応えようとする選手の気持ちもあって、お客さんも熱くなる。あらゆる意味で熱量が高くなりましたね」 【ストライカーの台頭】 ――「超RIZIN.3」では、キックボクシングからMMAに転向した選手たちの活躍が光った印象がありました。 「そうですね。平本選手、久保優太選手、YA-MAN選手もそう。2、3年後に振り返ってみた時に、『超RIZIN.3』は新たなMMAの幕開けを象徴する大会だった、となるかもしれません」 ――打撃出身の選手たちがMMAに適応してきたということでしょうか? 「MMAでは、キックボクシングとは違うレンジでも打撃を出す必要がありますが、相手にタックルを取られないことが望ましい。平本選手や久保選手はそれを体現していました。自分の距離でプレッシャーをかけつつ相手のミスを誘うとか、しっかり打撃を使って相手を圧倒することができていたと思います」 ――約1年前にお話しを伺った際、レスリングやフィジカルが強い選手がRIZINに入ってくると、打撃を得意とする日本人選手にとっては厳しい状況になるのではないか、とおっしゃっていました。実際にラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手(キルギス共和国)、イルホム・ノジモフ選手(ウズベキスタン)、ビクター・コレスニック選手(ロシア)らが参戦するなど、まさにそのとおりになったのではないでしょうか。 「ダゲスタンレスリング、中東、ロシアも含めてのレスリングを主軸にした選手たちは、テイクダウンを主軸として試合を作ってきます。『組みさえすれば試合を制することができる』という強い信念を持っている。それが打撃を主体とする選手にとっては非常に厄介です。"ストライカー(打撃を得意にする選手)"たちがそれをどう攻略するか、対策が必要です」