MotoGPライダーは左手でリアブレーキをかけているってホント!?
足を出す理由は、「より重心を下げる」とか「リアの振り出しをコントロールするため」など諸説ありますが、右足をステップから離した状態では、ブレーキペダルが踏めないのでリアブレーキが使えません。しかし、サムブレーキなら問題ありません。 また現代のMotoGPマシンは皆「シームレスミッション」と呼ぶ特殊なトランスミッションを装備しているため、走行中のギアチェンジはシフトペダルのみで、クラッチレバーは操作する必要がありません。そのため左手はリアブレーキの操作に集中できる、という側面もあるかもしれません。 そのためか親指で押すサムブレーキではなく、クラッチとリアブレーキのマスターシリンダー&レバーを2段重ねに配置して、まさにスクーターのようにレバーを引いてリアブレーキを操作しているライダーもいます。
一般ライダーには(現時点では)縁遠いが……
というワケで、MotoGPやSBKなどのレースシーンでは、サムブレーキ(左手リアブレーキ)がメジャーになりつつありますが、市販バイクに装備したり一般ライダーが試すことはできるのでしょうか?
じつはブレンボをはじめ、ブレーキシステムのメーカー各社からサムブレーキのマスターシリンダーは何種類か発売されていますが、基本的にレース専用部品であり、バイク側の加工や他にもパーツが必要で、なにより専門知識が無いと装着は困難です。 したがって現時点では、一般ライダーが愛車でサムブレーキを試すにはかなりハードルが高い、と言えます。 とはいえ、最近はヤマハの「Y-AMT」など、クラッチレバー操作の必要が無いオートマチック機構が各国のバイクメーカーから続々登場しています。これらのバイクはハンドル左側にクラッチレバーが無いので、物理的にも操作の難易度的にも「左手リアブレーキ」が登場する可能性はあるかも……? と考えられなくもありません。
伊藤康司