「かっこいい!」が知識を吸収する原動力に、異色の「バトル図鑑」が売れた理由
売れた理由の一つは、ターゲット層の“広がり”にある。メインターゲットとした小学校中学年だけでなく、低学年や未就学児に読ませるための購入も多かったのだ。 「『文字を読めない小さな子は、どうやってこの本を読んでいるんだろう?』と思っていたのですが、絵を見れば何となく内容がわかるようでした。また、親御さんに読み聞かせをしてもらっている子が多かったようです」(目黒さん) 中学年を想定読者にしていたため文章も多く、言葉の表現もやや難しい。第1弾の「動物」はフリガナのない部分もあったが、以降のシリーズはすべてにルビを振るようになった。 今では読者である子どもたちから、「マイトーナメント」も送られてくる。 「この本には正解はないんです。ある大会をしたらこっちが勝っただけ、という。『本にこう書いてあったけど、実はこの動物にはこんな特徴があって、その技さえ出せばこっちが勝ったに違いない』といったことを考えて、どちらが強いか自分なりに考察して結論を出すことは、空想力を伸ばすきっかけになるのではないでしょうか」――物語の展開を自分なりに空想して楽しんでもらえたら作りがいがある、と目黒さんは微笑む。「チョコエッグ」にライセンスアウトしたり、自社制作のフィギュアを発売したりなど、横展開も進めている最中だ。
「かっこいい!」が知識を吸収する原動力に
「本屋さんに立ち寄ったら『この本を学校に持ってきている友達がいて、読んだら楽しかったから読みたい』と言われて購入したんです」と話すのは、吉田美香さん(仮名)だ。小学1年生の息子と「どっちが勝つと思う?」と問題を出し合うのが日常だ。 「絵がリアルで怖くないのかな?と思うのですが、楽しいみたいですね」と美香さんは少し不思議そうだ。 1年前から「最強王」漬けになった平田麻莉さん・律歩くん親子にも話を聞いた。 小学2年生の律歩くんはもともと「どっちが強い!?」シリーズが大好きだった。「最強王」を知ったきっかけは、友達が持っていたこと。「たくさんの戦いが出てきて、『いいなあ』って思って」(律歩くん)購入したそうだ。クラスの「最強王」仲間とは、バトルについて考察して盛り上がる。一番好きなのは「ドラゴン」。「羽がかっこいい!」のだとか。