部下や同僚へのイラ立ちを抑える方法を「芸人のリアクション芸」から学ぶ
放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【写真】令和ロマンに学ぶ、大人を「ホメとムチ(無知)」で手なずける技術
後輩にお尻を蹴られた経験はありますか? 僕はあります。しかも2度。 吉本NSCからの帰り道。ケツに衝撃がはしり、恐る恐る振り返ると、へらへらと笑う生徒が立っていて、こう言われました。「どう? 面白いでしょ?」 面白いわけがなく恐怖。顔も青ざめたので面青いです。 芸人といえども「面白さの基準」はまちまち。過去1万人の教え子の中には、「講師のケツを蹴る=面白い」という、ぶっ飛んだセンスの生徒もいたので、しばしば驚きと恐怖、そしてイラ立ちを味わってきました。 みなさんも同僚にイライラしていませんか? いつも顔を合わせるメンツだからこそ、職場はイラ立ち祭りですよね。 そこで今週は、荒くれ者たちと共生してきた僕が実践している「部下や同僚へのイラ立ちを抑える方法」をシェアしていきます。
笑いもイラ立ちも「リアクション芸」です
芸人さんのスキルの一つに「リアクション芸」というものがあります。これは、あえて「大きな反応」をとることによって、笑いを増幅させるテクニックですが、僕は「イラ立ち」も同じリアクション芸だと考えています。 最近話題のカスタマーハラスメントを例にしてみましょう。 接客態度がいまいちなコンビニ店員がいたとします。もしも問題のある人物なら、何百人と訪れる客はみんな怒りのリアクションをとる……と思うでしょう。 しかし実世界では、怒る人と怒らない人がいます。これは、「問題の人物かどうか?」の反応は人それぞれ違うから。 どんなに失礼な相手であろうと、気にしない、振り回されない人もいれば、「私が正さなければ!」というリアクション芸に出てしまい、カスハラ事案になる人もいる。 どちらがより平穏な暮らしかどうかは、言うまでもないですよね。 では、どうすれば「イラ立ち」に対するリアクション芸を磨けるのでしょう? 答えはシンプル。お笑いの逆をするのです。前述したように、芸人さんは、あえて「大きな反応」をとることで、笑いを増幅させています。 イラッとしたときも同じで、大きな反応をすると怒りは余計に大きくなります。なので、あえて「小さな反応」を心がけて、ムダに感情を増幅させないようにするんです。 ちなみに生徒にお尻を蹴られたとき、内心は恐怖とイラ立ちでいっぱいでしたが、僕はあえて何も言わず、微笑みながら会釈をしました。 無視をしたり、無言で立ち去ったりすると、職場という共同体では「その後が面倒」なので、こういった当たり障りのない小さな反応がおススメです。