プロが選ぶ! 種苗会社おすすめの珍しくておいしい野菜
学生時代は「稲」の耐熱性を研究
上柳:そんな鈴木さんは学生時代、どんなことを学ばれていたのですか? 鈴木:応用生物科学部バイオサイエンス学科というところなので、実は野菜の栽培はしていませんでした。なので、本当に会社に入ってから初めて野菜の栽培に関わって、プロのベテランの農家さんに逆に教えていただくことが多かったです。 上柳:どんなことを研究されていたんですか? 鈴木:耐熱性の「稲」の研究をしておりました。 上柳:耐熱ということは、熱に強いものを? 鈴木:そうですね。熱に強い稲を育てるために熱試験を行って、35度、40度、42度、45度というように熱をかけて、そこで稲が育つかどうかという試験を行っていました。 上柳:まさに温暖化や猛暑で、米の収穫が大変なことになっていて、今年もおそらく大変だろうと言われていますもんね。 鈴木:はい。暑さが今どんどん加速しておりますので心配ですよね。
おすすめのヨーロッパ野菜「カリフローレ」
上柳:トキタ種苗さんは、珍しいヨーロッパ野菜をいっぱい作っていますが、鈴木さんが個人的に好きなヨーロッパ野菜はありますか? おすすめの料理方法とかあれば、教えていただきたいです。 鈴木:はい。私が好きなヨーロッパ野菜は、弊社の「カリフローレ」というスティックタイプのカリフラワーです。
上柳:(「カリフローレ」の写真を見て――)ああっ、見たことありますね! 茎が長いやつですね。 鈴木:はい。茎が長くて甘くておいしいです。食べ方としては、さっと茹でるだけでもおいしいですし、私は下茹でせずにそのまま焼いたり、炒めたりして食べます。「カリフローレ」は茎が長いので、豚バラ肉を巻いて食べると、上の方がカスミ草みたいなお花のような見た目をしているから料理映えもするので、おすすめの野菜です。 上柳:すごくヘルシーな感じですし、おいしそうですね! 鈴木:ピザの上に乗せたりしてもおいしいですよ。
「ブリーダー」「採種(さいしゅ)」という仕事
上柳:種苗会社さんは、新しい種とか新しい苗の品種を作るメーカーということで、「ブリーダー」というお仕事があるそうですね。 鈴木:基本は野菜の種や品種を作るメーカーなので、「ブリーダー」と呼ばれる仕事があります。もう1つは、作り出した種を販売するために種を増やす「採種(さいしゅ)」という仕事があります。 上柳:「ブリーダー」と聞くと、犬や猫の繁殖とか育てたりするイメージがありますね。 鈴木:植物のブリーダーは品種改良を行います。全社で10人ぐらいまして、新品種を作ったり改良を行ったりするので、会社の心臓部となっております。例えば、品種を掛け合わせる時は、年間100通り以上試して、おいしいけど外虫に弱い、病気に滅法強いけどおいしくないといった条件を1つずつクリアしていくんです。 正直、ブリーダーは人生で1つもヒット作に恵まれない方もいるので……。とても厳しいお仕事です。 上柳:厳しい世界なのですね。 鈴木:そうですね。10年とか、ものすごく長い時間がかかる仕事です。